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2009/02/02

「遊女のあと」 諸田玲子

遊女(ゆめ)のあと遊女(ゆめ)のあと
(2008/04)
諸田 玲子

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★★★☆

江戸の男は妻を斬らねばならなかった。福岡の女は夫から逃れてきた。二人は流れ流れて、めぐり会う。質素倹約を強いる八代将軍吉宗に対抗し、遊興を奨励し、空前の繁栄を謳歌する尾張名古屋で。男と女も夢に酔う。巨大な政争の具となっていたことも知らずに。歴史時代物でしか味わえない、壮大な人間ドラマを描く傑作長篇。
新潮社HPより



題名は「ゆめのあと」と読みます。
勘違いしてしまいそうですが、遊郭のお話ではありません。

福岡の漁師の妻、こなぎは、海で遭難し追われる身となった異人と駆け落ちして尾張名古屋を目指します。
こなぎの旅は命がけですが、知り合った豪商の世話で、行く先々で出会う人々に助けられ、また彼女自身のしなやかさやたくましさが自らを助けます。

一方の江戸の下級武士、高見沢鉄太郎は、失踪した妻が尾張家に匿われているとの情報を得、ある策略により女敵討ちせざるを得ない状況に追い込まれます。
鉄太郎は謹厳実直で、体面と家を重んじる、まさに武士然とした人物。
妻の裏切りへの憤りはあるものの、意に沿わない女敵討ちに戸惑い、それでもあとへは引けず、不本意ながらも名古屋へ向かいます。

こなぎと鉄太郎が名古屋へたどり着くまでは、それほど興が乗らず、実はかなりの日数を費やして読みました。
中幕(顔見世)の章から、名古屋が舞台となり、二人がその地で出会います。
そこから物語は大きく展開し、どんどん面白くなってきました。

こなぎを支援した豪商らや浄瑠璃語りの豊後掾、鉄太郎が頼る安田文吉郎、異人の張一族、尾張家の人々と、まさに役者がそろって入り乱れ。
それぞれの思惑に、こなぎと鉄太郎が図らずも巻き込まれていき、身分も育った地もまったく違う二人が、どのように関わっていくかが見ものです。
また、こなぎという女性の強さに感服するとともに、鉄太郎の心の変化も楽しめました。

話の背景に、倹約を重んじる将軍吉宗と、遊興を好む開放的な尾張家当主宗春の対立構造が垣間見れ、また、夢の国と言われた名古屋の光と影の部分が色濃く浮かび上がってき、読み応えがあります。
将軍吉宗は知っていても、同時代の尾張徳川家や宗春の知識はまったくなかったので、吉宗よりも魅力的に書かれた人物像が新鮮でした。

ただ、とにかく中盤がとても盛り上がったので、最終的に少し失速感は感じてしまったかなと、贅沢にも思ってしまいました。
そして結末は期待通りではなく、爽やかな中にもなんとなくほろ苦い気持ちをも味わったのですが、納まるべきところに納まり、納得のいくものでした。
紹維]が意外と端役だったのでその後どうなったかはなんとなく気になってしまいましたが。
ま行その他 | Comments(0) | Trackback(0)
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