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2008/08/28

「名もなき毒」 宮部みゆき

名もなき毒名もなき毒
(2006/08)
宮部 みゆき

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★★★☆☆

著者三年ぶりの現代ミステリー。編集者・杉村三郎はアシスタントの身上調査のため、私立探偵のもとを訪れる。そこで出会ったのは、連続無差別毒殺事件で祖父を亡くしたという女子高生だった。
幻冬社HPより


宮部みゆきさんは、東野圭吾さんと並んで図書館ですぐには借りられない作家さんです。
予約が少し出遅れると、半年待ちなんてざらなので、話題の時期を過ぎて読むことが多いし、あきらめてしまって、実はそんなに読んでない作家さんでもあります。

本作は実家帰省中に読んですぐに返却したので、手元にないまま覚え書きと感想を残しておきます。
このお話は、他の作品(「誰か」)とつながりがあるそうなのですが、そちらを読んだことがありません。
主人公の杉村にまつわる背景がやたらと込み入っているのは、その続編だからということもあるのでしょうか。
また、今後シリーズ化されるとのことなので、主人公自身の背景もいろいろ広げておいたほうがよかったのかもしれませんね。

ページ数が多く、登場人物もそれぞれのエピソードも多いので、やや散漫な感はぬぐえませんが、さすがの筆力と話運びで、ぐいぐいと引き込まれていきます。
それぞれの人物がしっかりと人格を持って息づいている感じがするし、癖の感じられない文章でつっかかりなく読めて、飽きさせないというのはやはりすごいです。

「毒」と一口に言っても、薬物の毒、シックハウス症候群を引き起こすものや土壌汚染という人間の営みの積み重ねによって生まれた現代の社会問題的な毒、そして人の心に潜む毒といろいろ出てきました。
そうして考えてみると、日常のいたるところに毒は潜んでいて、それが表面化するまでは普段は気付かないか、見ないふりをしていることが多いのです。
いつも何かに怯えて疑いながら、緊張して過ごすことなどできるはずもなく、毒のことを常に気にして生きていくなんてできないからです。
でも、この話を読むと、どんな人にとっても、確かだと思っているものが、実はとても不確かなものである、あやふやなものの上を歩いていることを意識せずにはいられないのです。

一方、心の毒は、誰にでも大なり小なり持っているものだけど、それとどう折り合いをつけるかが難しい。
悪意という自らの毒によって言葉や行動で周囲の人を蝕み、自分自身もさらに蝕まれて心を侵食される。
そして他者との毒とどう付き合っていくかも難しい。
最初の頃の原田いずみに近い人はどこにでもいるものですね。
平和な状態を望んでいなくて、常に何かトラブルを抱えていたい、文句ばかり言っている人。
でも、原田いずみは途中からかなりエスカレートしてきて、同じ人物と思えないほどで、急な変化にちょっと戸惑ってしまいましたが。
毒殺事件のほうの顛末は、ただただ悲しかったです。

杉村と義父の会話に出てきた「権力」と「無力」についてと、北見が話した「普通」ということについても、考えさせられました。
「普通」ということで言うなら、杉村はお人よしというかなんというか…他人事にそこまで真剣に真摯に関わって無欲に手を差し伸べるというのも、ちょっと普通じゃないように感じました。
で、いくら会長の娘婿でも、勤務時間中に私用をしすぎでしょ(笑)

続編が出たら、読みたいです。
杉村や奥さんとの今後も気になります。
ま行その他 | Comments(0) | Trackback(1)
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「名もなき毒」宮部みゆき著、読んで見ました。「名もなき毒」宮部みゆき著、読んでみました。財閥企業の今多コンツェルンで社内報を作る編集記者であり、その会長の娘の夫と言う、主人公の「杉村三郎」の立場と、寛容で優しすぎる人格設定は悪くは無いが、物語をあまり緊...

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