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2008/08/10

「こうふく あかの」 西加奈子

こうふく あかのこうふく あかの
(2008/03/27)
西 加奈子

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★★★☆☆

周りから自分がどう見えるかを常に計算しながら、用意周到に順調な人生を送ってきたつもりの39歳、靖男。
その自称完璧主義の男の人生を大きく狂わす計算外の出来事、それば妻の妊娠だった。なぜなら、妻のお腹にいる子は、自分の子どもであるはずがないのだから。
冒頭からそんなおもしろい展開で、思わず話にのめり込んでいきました。

本来なら靖男のように、部下や同僚、妻を軽んじて管理下に置いていると思い込み、特に女性に対して露骨で端的な感情表現を持つ男は、鼻持ちならなくてカチンとくるところです。
でも、そこはさすが、西さんの軽妙でユーモラスな文章から、靖男の小細工めいた画策はどこか詰めが甘くて抜けているように感じられ、その徒労と滑稽さがおもしろいです。
新年会のシーンは目も当てられないほど。

おとなしく従順でつまらない女だと思っていた妻がいきいきとし始め、それに嫉妬を感じ、その嫉妬という感情を持つことに屈辱を感じる靖男。
一つの生命を前に、自尊心や体裁が崩され、それまでの生き方が大きく揺さぶられていく姿がなんとも印象的で心に迫ります。
何をも凌駕してしまう生命の持つ圧倒的な力強さには息を呑むばかり。
そこには厳かさや美しい感動ではなく、生々しい「生」を強く感じました。

靖男の話と並行して、近未来の2039年、アムンゼン・スコットという覆面プロレスラーの話が途中途中で折り挟まれます。
二つの関連のなさそうなストーリーが最後に交錯して、熱気と興奮ともに爽快感を感じました。

ケチャップ、赤いマント、赤い花道、生まれいづる道、たぎる血潮のような色が鮮明に浮かぶようでした。
西加奈子 | Comments(2) | Trackback(0)
Comment
おぉ。読んだんですね。
そして感想文がすばらしい~。
私は好きなタッチの物語でした。
zeroneさん、無事読めました(笑)
読み始めたらあっという間でした。

主人公は、女性作家さんが書いたから許せるキャラという気もしました。
西さんはおもしろいですね!

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