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2008/06/02

「白い月黄色い月」 石井睦美

白い月黄色い月白い月黄色い月
(2006/01)
石井 睦美

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★★☆☆☆

石井さんは児童文学を多く書かれている方のようで、この作品も難しい言葉は使われていません。
でも、初読ではどこか難解な印象を持ちました。

「ぼく」は記憶をなくして、その島で暮らしている。
名前も年齢も、どうしてここにいるのかということも分からない。
その島は1の島から4の島までの4つの小島でできているが、3の島には行ってはいけない。
4の島にはその島でたったひとつのホテルがあって、「ぼく」はそこに住んでいる。
ホテルには、カエル的人間(顔と手足がカエル)のオーナー、人格を持った書物のビブリオがいて、「ぼく」と一緒に食事をしたり、話し相手になってくれたりする。

パラレルワールドを描いたかのような、不思議な世界です。
こんな不思議なお話を読むとき、私はあまり深く考えず感覚で読むことが多いです。
一つ一つに、何それ?どうして?と疑問を持てば次に進まないから(笑)
それはそれとして受け入れて、雰囲気を楽しむようにしています。

美しく、やさしい世界での穏やかな生活。
けれど、記憶の糸が時折しっぽをたらし、それをつかみ損ねてもやもやする。
「ぼく」は何も変わらないその世界で、同じことを繰り返す生活に、少しずつ焦りと苛立ちを感じるようになります。

「ぼく」は誰なのか、この島はいったい何なのか、とたくさんの疑問が膨れ上がってきて、雰囲気を楽しむよりも謎解きが主体になってくるのです。
とくに「黒い服のひと」が現れてからは、話の展開が大きく動きます。
でもその辺りから、描写が分かりづらくなってきました。
「うすらあかるいのはにせもの。くらいのはほんもの。」
概念的、暗示的な表現が多く、どう捉えればいいのか(あるいは特に解釈しなくてもよいのか)ちょっと悩むところ。
冒頭は感覚的に読んだので、切り替えが必要でした。

結末は、それらが解決するかたちにはなっているけれど、話の落としどころとしてはどうなのかなぁ、とも思います。
[だって、あの世界は「ぼく」が見ていた夢だったっていうのはちょっと…拍子抜け(笑)
丸くはおさまりますけど。
でも夢の中で、現実世界で失っていた記憶を取り戻すことができ、夢の力ってすごいなぁと思わずにはいられないです。

たまに私もあります。
夢の中で突然ひらめいたり、自分の気持ちが抱えているものにはっと気付いたり。
起きると半分くらいは忘れてるんですが(笑)
「ぼく」は起きてからも夢での記憶をしっかり覚えていてよかった。

オカリナがよかったです。
お母さんの想いが詰まったものだったのでしょうね。
それがめぐりめぐって「ぼく」の手元に届くというのが素敵です。


結末を知ってから、ぱらぱらと本をめくり返していると、なるほどこの結末はいたるところで暗示されてたんですね。
島やホテルのネーミング。
「酔生夢死」の場面(P11~12)。
「育ちざかりだからね。起きていようが眠っていようが、きみは成長を続けている。」P81


何かを知るということ(ここでは記憶を取り戻すということ)は、痛みを伴うこともあるし、それを知る前の安寧にはもう戻れない、ということをこの不思議な島の世界であらわしているんじゃないかと思います。

他にも、もっと捉えるべきところがあって、見落としているのかもしれません。
読み手(というか私)の消化不良を起こしやすい本な気がします。

※話の結末部分については完全にネタバレしているので反転させました。
そこを書かずに感想を書きづらかったし、書かずにはいられなかったので。
未読の方は反転部分にお気をつけください。

あ行その他 | Comments(0) | Trackback(0)
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