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2008/05/10

「花宵道中」 宮木あや子 

花宵道中花宵道中
(2007/02/21)
宮木 あや子

商品詳細を見る

★★★★☆

デビュー作とは思えないほどの筆力と完成度に、感服しました。
宮木さんの書く文章は、有り様が色濃く見え、匂い立ち、温度を感じます。
江戸は吉原、小見世の遊郭「山田屋」を舞台に、遊女たちの哀しくも凛とした生き様が鮮やかに描かれています。
朝霧、茜、霧里、八津、緑それぞれがヒロインとなる5編は、どれも印象深く、濃度が高い。
そして、各編でエピソードがつながり、重なり合う、構成の妙。
1つの出来事が別の視点で描かれたいくつもの箇所は、人物背景の広がりと話の奥行きをもたらしていて、その印象の変化に驚き、別の側面の事実に震撼としました。

以下、多少ネタバレしてますのでご注意ください。
特に顕著なのは「花宵道中」と「青花牡丹」。
単独でも味わい深い2作は、表裏となって折り重なる部分によって、いっそうの哀しみを呼びます。
あの日、朝霧が青い鼻緒の草履を履いていたのは運命だったか。

5編収録。
「花宵道中」
「薄羽蜉蝣」
「青花牡丹」
「十六夜時雨」
「雪紐観音」


表題作で第5回「女による女のためのR-18文学賞」大賞と読者賞を受賞。
たしかに官能的な描写はあるけれど、下品には感じませんでした。
まるで、彼女らの恋しさや愛しさや哀しみや怒りや痛みという様々な激情を表すために、命を削って燃え盛らせている行為のように思えました。
その刹那的な命の輝きが、甘美でせつなくて、よりいっそうの悲哀を感じました。

悲恋ばかりでなく、姉女郎と妹女郎の結びつきや、遊女同士の友情、ときおり見られる連帯感にもほろりとさせられました。
いろいろと印象深いシーンはあるのですが、妙に頭から離れないのは、八津が茜の枕元によもぎ饅頭を置く場面です。
「薄羽蜉蝣」ではその場面で茜と共に涙し、「十六夜時雨」では八津の思いを知って、苦界の過酷さをまざまざと見せつけられたようでした。

今回主役にはなり得なかった桂山や菊由ら、他の遊女たちにもきっとそれぞれのドラマがあり、誰が主役になっても成り立つのでは、と思えます。

彼女たちが凛として見えるのは、それぞれがいろんな思いを抱えながら、何かを諦めたり受け入れたりしながらも、譲れないものに対してかたくなに守り通そうとする強さとプライドがあるからかもしれません。
結末は違えど、それぞれの生き様に心打たれました。
ま行その他 | Comments(2) | Trackback(0)
Comment
はじめまして。
この本すごく読みたいと思っているんです。星4つと高評価だったので、読むのがますます楽しみになりました。
ブログを拝見させて頂いて、好きな本がたくさん取り上げられていて、勝手に嬉しくなってしまいました。星もすごく参考になります★
これからまたちょくちょく読ませて頂きます。あ、でも無理はせず、ゆったり更新を楽しみにしてます♪

もしよければ私も読んだ本を忘れないようにブログにしているので、お暇なときにでもいらして下さい。
コメントありがとうございます♪
ともこさん、はじめまして♪
感想がなかなか書けなくて自分でも軽く落ち込んでいましたが、コメントをいただけてとても嬉しいです。
できれば後からでも感想を追加しようと思っています^^;

「花宵道中」は特に女性の方におススメです。
デビュー作というのが信じられないくらいまとまっていて、よかったです。


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