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2008/03/21

「サクリファイス」 近藤史恵

サクリファイスサクリファイス
(2007/08)
近藤 史恵

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★★★☆☆

自転車ロードレースを題材にしたお話。
競技の知識はまったくなく読み始めました。

個人競技なのだけれど、所属チームから優勝者を出すために、エースと、エースをサポートするアシストが存在するという、実質は団体競技に近いロードレース。
アシストは、競技に参加しながらも風よけや他チームの牽制を率先して行い、自チームのエースを勝たせるために献身的に働きます。
エースの自転車に不具合が生じれば、アシストが競技を中断して助け、ときには自らのタイヤを差し出すこともあるそうです。
けれど、勝利を勝ち取るのはあくまで個人で、そこにアシストの名前は出ません。

主人公の白石誓は、自分が勝つためでなく、誰かを勝たせるために走るというアシストの役割に魅力を感じ、有望視されていた陸上から自転車競技に転向し、チーム・オッジに入ります。
不動のエース石尾をサポートする、6人のアシストのひとりに選ばれた新人の誓は、日本で行われるレースに出場することになります。
いろいろな状況が重なり、誓はそのレースでいい成績を収めることに。

アシストに徹したい誓に次代のエース候補としての注目が集まるなか、ある噂を耳にします。
エース石尾は自分以外のエースを認めず、ライバルを潰す。それにより、怪我で下半身不随になった元チームメイトがいる、と。
その後、海外で行われたレース中に事故が起きるのです。

スポーツをテーマにした爽やかな青春小説、という趣向ではありません。
冒頭部分の記述から、なんらかの事故が起きることは分かっていたので、それぞれの思惑や感情の部分に注意しつつ、初めて知るこの競技の駆け引きやレース展開の面白さにも魅了されるという忙しさ。

人物描写や、前半に集中していた競技の面白さについては、もっと掘り下げて書いてほしいような気もしました。
香乃なんて魅力をまったく感じませんでした(笑)
伊庭もいまひとつ。
ミステリー要素があるので仕方ないのかもしれませんが。
また、後半も競技自体の盛り上がりを期待してしまったので、そこにも少し物足りなさを感じてしまいました。
それだけ過酷でスリリングな、魅力的な競技に思えたので。

でも後半の、事故の真相解明が展開していく部分は、ページをめくる手がとまりませんでした。
サクリファイス(犠牲)という題名のもう1つの意味を知って衝撃を受け、しばし呆然とし、その思いを背負うということに戦慄を覚えました。

嫉妬、プライド、鬱屈、不信…それぞれに渦巻く感情。
競技にかけた情熱、誇り、覚悟。
張り巡らされた緻密な伏線が、見事にフラッシュバックしてきました。

近藤史恵さんの本は初めて読みましたが、簡潔で読みやすい文章だし、他の作品も読んでみたくなりました。
か行その他 | Comments(0) | Trackback(0)
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