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2008/01/07

「ホテルジューシー」 坂木司

ホテルジューシーホテルジューシー
(2007/09)
坂木 司

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★★★☆☆

以前読んだ「シンデレラ・ティース」の姉妹編にあたるお話です。
サキの友人、柿生浩美ことヒロちゃんが主人公。

大家族の長女として小さいころから弟や妹の面倒を見、家の手伝いをするのが習慣になっているヒロは、自分のことは後回しにしてでも人に世話を焼き、空き時間も有効に使いこなしててきぱき動く女子大生。
そんな彼女が、ぽっかりと空いてしまう夏休みに選んだバイトは、東京から遠く離れた沖縄の宿での住み込みの仕事でした。
当初は、石垣島のホテルで同世代の仲間と忙しく働くバイトに充実感を感じていたものの、急遽人手の足りなくなった別のホテルに応援にいくことになってしまいます。

那覇市内にある、そのホテルの名は「ホテルジューシー」。
わかりづらい場所にあり、雑居ビルのような外観で、ホテルの客室とマンションの部屋が階を隔てて混在する建物のそこは、長逗留する常連客や口コミでやってきた客がほとんど。
石垣島の宿とは趣のまったくちがうホテルで、ヒロはフロント業務や雑務全般を一人でこなすことになってしまいます。

他の従業員は、朝食料理担当の比嘉さん、掃除係のクメばあとセンばあ、そして昼行灯で頼りにならないけど夜は冴えるオーナー代理。
沖縄らしい、おおらかでのんびりとした従業員たちのいい加減な面に、苛立ったり脱力したりのヒロ。
さらに、宿泊客のなかにもヒロが放っておけない人たちが次々とあらわれて・・・。
ヒロは、いい加減なことやだらしないこと無駄な時間が嫌いで、自分にとって「正しい」と思うことに反するものを見過ごせない性格です。
その彼女なりの正義感は、時として固すぎるし融通がきかない。
そして、自分の信念に基づいて、宿泊客のプライベートには踏み込むし、業務を逸脱して世話を焼くしで忙しいのです。
沖縄のゆったりと流れる時間のなかで、ヒロだけが四角四面で対照的です。

お客さんにもいろんな人がいて、それぞれ事情があって、そのいちいちにヒロの「正しさ」の尺度で怒ったり呆れたりするので、読んでいて肩がこりました(苦笑)
思うにとどまらず、行動にうつしてしまっているところが、若いゆえの無鉄砲さというか。
ヒロ本人も「自己満足」だと言っていたけど、見過ごすと後味が悪いから、自分がすっきりするためにお節介を焼いている部分もあるように見えます。
もちろん、彼女のお節介によって救われたり、喜んだりした人もいるわけですけど。
でも自分なら、旅行の宿泊先で、従業員にプライベートを詮索されて、あれこれお説教されたり世話を焼かれるのは嫌かなぁ。

そんなヒロですが、バイトを終えて東京に帰ってきたときには成長のあとが見られました。
従業員との会話やお客さんたちとの出会いによって、人それぞれの尺度を知り、ヒロのかたくなで窮屈な考え方にも少しだけゆとりができてきたようです。
オーナー代理が何度か言ってきた謎かけのような一言は、ヒロを自然と諭していたし、「≠(同じじゃない)」での心に突き刺さるような台詞は、ヒロの心に風穴を開けたに違いありません。
まさにアメとムチ。
オーナー代理、あたたかくてやさしくて、大人ですね(笑)
このガツンとくる場面がなければ、ヒロのことを寛容な眼で見れないまま読み終わっていたかもしれません。

最後にはオーナー代理の過去の話などが出てくるのかと思いましたが、ノータッチでした。
また、オーナーも結局登場しなかったですね(常連客の一人をオーナーなのかもと深読みしましたが、違っていました 笑)。

以下7編収録。
「ホテルジューシー」
「越境者」
「等価交換」
「嵐の中の旅人たち」
「トモダチ・プライス」
「≠(同じじゃない)」
「微風」
坂木司 | Comments(0) | Trackback(0)
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