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2007/11/25

「うさぎパン」 瀧羽麻子

うさぎパン (ダ・ヴィンチブックス)うさぎパン (ダ・ヴィンチブックス)
(2007/08/01)
瀧羽麻子

商品詳細を見る

 ★★★☆☆

優子は、継母で仲良しのミドリさんと二人暮らし。
実の母聡子は優子が三歳のときに病死しており、父親はロンドンへ単身赴任中です。
女子中学校を卒業し、初の共学の高校への入学でどぎまぎするのだけど、自己紹介の場面で富田くんという男の子に助け舟を出され、パン好きという共通点で意気投合して仲良くなります。
クラスメイトの早紀や、家庭教師の美和ちゃんとも仲良くなり、優子の新しい世界が広がっていきます。
淡々としながらも柔らかい印象の筆致で、ゆるやかに進むお話です。
優子と富田くんのほのぼのとした会話や、初々しい心の動きが、読んでいて微笑ましかったです。

ふんわりとゆるく、好きな雰囲気なのですが、手放しでこのお話を好きとは言えないというか。
話の中盤になって、美和ちゃんに実母の聡子が乗り移るあたりから、あれ?そういう展開なの?と面食らってしまいました。

以下、若干ネタバレあり。
このお話はどこにむかうんだろうと少し戸惑いながら読み、その状況にも慣れてきたところで、聡子の最後の告白でまたさらにちぐはぐな感じが強くなってしまいました。

あの告白シーンは必要だったのかなぁと疑問に思います。
果たして聡子の告白は、「ミドリに対する恩返し」になっているのでしょうか。
優子が血のつながりを気にしているのであれば、それぞれの関係が変わるきっかけになったかもしれないけれど、もとからミドリさんとの関係が良好な優子にとっては、何の意味があったのかよく分かりません。
逆に優子がミドリさんに対してひとつ秘密を抱えてしまったことにはならないのか、さらに父親への嫌悪を強くすることになるのではないかと、釈然としませんでした。

そして、父親は登場しませんが、とんでもない男ですよ。
もうちょっと救いようのある設定にできなかったものか。
ミドリさんと聡子と父親の三人の関係と因縁を想像すると、美談になるはずもなく、心穏やかではありません。

「並列つなぎの電球だって暗くなるもん」
「エネルギー保存の法則」に例えて、大切なものがたくさんあると愛情まで分散されてしまうのではないかという優子の言葉が心に残ります。

美和ちゃんと村上さんの関係も、少し不思議で気になるのだけれど、中途半端に気を持たせておいて放置気味。
そういうもやもや感や息苦しさが消化不良を起こして、この爽やかでやさしいお話に水を差しているのがもったいなく感じました。

前半のパン好きの会話や、富田くんのお父さんについての話、遊園地のシーン、クリスマスの場面など、要所要所のシーンを断片的にみれば素敵なんです。
それに文体は好きなのに、展開に不自然さを感じてしまったのと、何に重点を置いているのかがはっきりせず、まとまりがなく感じたのが残念です。
今作がデビュー作とのことなので、次作を楽しみにしています。
た行その他 | Comments(2) | Trackback(0)
Comment
お邪魔します
はじめまして。
じん、とさせられたのに 何だか細部にひっかかってしまい、もやもやしていました。
手放しでほんわかしましたと褒めているレビューが多いので更にもやもや…(笑)。
まりもさんのレビュー、共感です。拍手ボタンが無いので
コメントさせて頂きました!
No title
>なずなさん
はじめまして。
瀧羽麻子さんはこの本以来読んでいないのですが、コメントをくださって自分の昔の感想を読み返し、他の作品も読んでみようかなと思いました。
ありがとうございました。

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