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2007/11/21

「かってまま」 諸田玲子

かってままかってまま
(2007/06)
諸田 玲子

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★★★☆☆

諸田さんの本は、初読みです。
そして時代小説も気付けば久しぶり。
江戸の町に暮らす人たちの、人情と哀愁を堪能できた連作短編集です。

一話目「かげっぽち」では、夫の丈吉、赤ん坊のおさいと暮らす伊夜という女性が主人公となっています。
おさいは、伊夜の実の子ではなく、伊夜が侍女として仕えていた旗本の娘、奈美江の不義の子。
奈美江とその相手の立場を守るため、伊予は身代わりとなり、丈吉とともにおさいを育てています。

奈美江との偶然の再会の際、下駄のやりとりのシーンでは、伊夜の気持ちを思って過剰に感情移入していきました。
その時代の、二人の関係からすれば当然のことなのでしょうが、悔しくて悔しくて(笑)

その後起きた江戸の火事をきっかけに、それぞれの運命は大きくねじれていきます。

二話目以降は、おさいが本当の父母を探し、ある目的を遂げる物語へとなっていきます。
ただ、主人公はおさいではなく、その時代に生きる女性たちというのが面白いところ。
各話ごとの主人公と関わりを持ちながら、徐々に成長したおさいが登場し、彼女がたどる波乱の人生が断片的に見て取れるようになっています。

また各話の主人公たちが、おさいと出会うことによって転機を迎え、一歩前に進むところも、読んでいてほっとしたり、小気味よかったり。
「賽子(さいころ)のさい、采配のさい、宰領のさい、裁決のさい、幸先のさい・・・・・・。さいは才でもあり災でもあって、善し悪しはともかく、小さな体には人の宿命さえ変えてしまう力が秘められているように見えた。」
おさいの名前が表すように、出会った人たちの心に一陣の風を吹かせては去っていくところが、鮮やかに際立ちます。

誰もが振り返るような美貌と人を惹きつける魅力を持ち、利発で芯の通ったおさい。
成長するにつれ、生きる術としてしたたかさや大胆さ、たくましさを身につけた彼女自身は、幸せに生きられるのか。
最後の二話では、おさいの本懐がクローズアップされます。

最終話「けれん」では、おさいをモデルに脚本を書いた、狂言作者の鶴屋南北が主人公となっています。
けれん味という言葉は耳にしますが、もともとは歌舞伎用語で、仕掛けを使って観客の意表をつき驚かせる演出を言うそうです。
「この世はけれんに満ちている。」
という一文はこの物語をもよく表していて、話全体もまとまりがよく、巧いなぁと思いました。
覚え書きまでに、各話の主人公と、登場するおさいの年齢です。
「かげっぽち」 
侍女の伊夜(育ての母) 赤ん坊のおさい
「だりむくれ」 
人生を諦めている飯盛女のかや 七歳のおさい
「しわんぼう」 
質屋のご新造でけちなおすみ 十歳のおさい
「とうへんぼく」
腹いせにスリを働くおせき 十四、五歳のおさい
「かってまま」 
大工の気ままな女房のおらく 十六、七歳のおさい
「みょうちき」 
頭領の愛娘でがさつなみょう 二十歳前後のおさい
「けれん」 
狂言作者の鶴屋南北 三十歳前後のおさい
ま行その他 | Comments(0) | Trackback(0)
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