--/--/--

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
スポンサー広告
2013/11/12

「巴里の空の下オムレツのにおいは流れる」 石井好子

巴里の空の下オムレツのにおいは流れる (河出文庫)巴里の空の下オムレツのにおいは流れる (河出文庫)
(2011/07/05)
石井 好子

商品詳細を見る

★★★★

戦後まもなく渡ったパリで、下宿先のマダムが作ってくれたバタたっぷりのオムレツ。レビュの仕事仲間と夜食に食べた熱々のグラティネ―一九五〇年代の古きよきフランス暮らしと思い出深い料理の数々を軽やかに歌うように綴った名著が、待望の文庫化。第11回日本エッセイスト・クラブ賞受賞作。
「BOOK」データベースより



以前から気になっていた石井好子さんの料理エッセイ。
1963年に暮しの手帖社から刊行された単行本は、最寄りの図書館に蔵書がなくてなかば諦めていたのだけど、2011年に、姉妹編「東京の空の下――」とともに文庫本として再発行されたのを最近になって知りました。
このエッセイのレシピ版もあるそうで、そちらも機会があったらのぞいてみたいなと思います。

「生肉をたべるなんて動物みたい」
といっていやがる日本人は多い。私はそういう人をみると、可哀そうにおもう。食べる前に頭からまずいものときめてしまうなんて、バカげているとおもう。
(「作る阿呆に食べる阿呆」より)


海外で食べてきた多種多様な食べ物と料理。
今の時代でさえ、エスキャルゴに蛙、トリップ(牛の臓物類をこまかく切って煮たもの)、豚の鼻、血の腸詰、と聞くと少しぎょっとしてしまうけれど、石井さんは食べ物にたいしてフラットな感覚をお持ちだったんだなと思います。
ドリアンのエピソードでは大いに笑いました。

お料理はなんのきまりもないのだから、とらわれないことだ。それから自信をもってまな板に向うことだ。こんな材料ではおいしいものがつくれる筈はないと思う前に、これだけのものでどんなおいしいものをつくってみせようかと考えるほうが幸福だと思う。
(「西部劇とショパンと豆と」より)


戦中戦後の食べ物が乏しい時代、また海外生活で日本の食材が手に入りづらい時代に作られてきた料理の、柔軟な発想と工夫。
なんだか耳の痛い言葉。

おいしいものというのは、なにもお金のかかったものではなく、心のこもったものだと私は信じている。
この本には、いろいろなお料理のことを書いたけれど、私のおいしいと思うものは、銀のお盆にのったしゃれた高価な料理ではなく、家庭的な温かい湯気のたつ料理だ。
台所から流れるフライパンにバタがとけ卵がこげてゆく匂い、それは台所で歌われている甘くやさしいシャンソンではないだろうか。
(「あとがき」より)


心が満たされる数々の料理の記述。
食べ物への愛情が伝わってきます。
バタの匂いが、肉の焼ける音が、スープの湯気が、50年の時を経た今でもありありと感じられる素敵なエッセイでした。
エッセイ | Comments(0) | Trackback(0)
Comment

管理者のみに表示

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。