--/--/--

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
スポンサー広告
2007/10/24

「エスケイプ/アブセント」 絲山秋子

エスケイプ/アブセントエスケイプ/アブセント
(2006/12)
絲山 秋子

商品詳細を見る

★★★☆☆

闘争と潜伏にあけくれ、20年を棒に振った「おれ」。だが人生は、まだたっぷりと残っている。旅先の京都で始まった、長屋の教会での居候暮らし。あやしげな西洋坊主バンジャマンと、遅れすぎた活動家だった「おれ」。そして不在の「あいつ」。あきらめを、祈りにかえて生きるのだ。―いつわりと挫折の日々にこそ宿る人生の真実を描く傑作小説。
「BOOK」データベースより


「エスケイプ」
主人公の軽妙でどこか投げ遣りな語り口調が特徴的です。

自分自身を見つめ直し、信じてきたものを捨てて、抜け出すことを決意した40歳の正臣。
妹が始める託児所の仕事を手伝うことを決めたが、仕事を始めるまでに1週間の猶予があった。
思いつきで大阪行きの寝台列車に乗り、唐突に「あいつ」がかつて住んでいた京都に降り立つ。
「卒業旅行」と称して過ごす、エスケイプ(逃避)の物語です。
変わり者でだらしなく、いい加減だけど、どこか可愛げがあって憎めない主人公です。

成り行きで、神父バンジャマン宅に居候させてもらうことになった正臣。
この神父がいろいろと訳ありで、とてもいい味をだしています。
隣の家に住む歌子ばあさんもよくて、おじいさんの話をするところはジンときました。

正臣が神に向けて言った言葉はおもしろいけれど、切実です。
「おれさあ、ここで悔い改めちゃったりすると人生ゼロになっちゃうみたいで、それはちょっと都合が悪いんだよな」
「神さまよ、人の罪なんか聞くより、むしろ応援しろよ。あんたの作った人類のこととかをよ。」
「悪いな、おれは必死だよ。でも必死って祈ることに少しは似てないか。」

主人公の生き方やそれまでの行動には私の想像が及びませんが、今まで信じてきたことや価値観が急に色あせて見えるということは私にも有り得るわけで、それを考えるとドキッとします。
だからといって、20年という歳月を費やしたものから、すぐに別の道へ方向転換できるものでもない。
私も心の整理をつけるために、ひとまず逃避したくなるだろうし、何かに縋りたくなるだろうなと思います。

ラストは少しせつなくて、でもどこか清々しくてよかったです。

「アブセント」
「エスケイプ」での「あいつ」が主人公の話。
のらりくらりした感じの語り口調です。

透明人間ごっこをするのが好きだった子供のころ。
誰も知らない土地へやってきて、自由と開放感を感じていた15年前。
そして今は、「このまま帰らなかったら、どーなんだろーなー」なんて、自分の存在が「透明人間」になることを想像している。
そして、自分の隣にかたわれの「不在」という存在を強く意識してしまっている。
「アブセント」(不在、欠けている)は捉えどころのない空虚さをあらわしているようで、いろいろ解釈できそうです。
分かったような分からなかったような(笑)

こちらも、ラストの「エスケイプ」との時を越えた呼応には思わずうなってしまいました。
絲山秋子 | Comments(2) | Trackback(0)
Comment
これ、読みました
こんにちは。三姉妹母です♪
これ、図書館で借りて読んでみました。
読みやすかったのでわりとスッと本に入れました。
やっぱり主人公が神様に向かって言う言葉がとても印象的でしたね。なげやりだし無礼だけど、間違ってはいないのかも・・・と、考えてしまいました。
ひさびさに本読みましたが、本っていいですね。
コメントありがとうございます!
dualさんありがとうございます♪
読みやすかったけど、感想を書くとなるとわりと難しい本でした。
あと、素通りしましたが、知らない言葉もたくさんでてきました(笑)
あの神様に向けた言葉、印象的ですよね!


管理者のみに表示

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。