--/--/--

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
スポンサー広告
2007/10/07

「薄闇シルエット」 角田光代

薄闇シルエット薄闇シルエット
(2006/12)
角田 光代

商品詳細を見る


★★★★☆

角田さんのお話は好きで、図書館にあるとよく借りてきます。
そのなかでも、この本にはかなり涙腺をやられてしまいました。
きっと、ハナが抱える恋人や結婚や家族や友達や仕事のあれこれが、自分にも重なる部分があって、シンクロしてしまうからなんでしょう。
私が目をそらし考えないよう、想像しないようにしていたことが、如実に描かれていて心にぐさぐさと刺さりました。

ハナは下北沢で古着屋を経営している37歳。仕事は順調。同年代の男よりも稼いでるし、自分の人生にそれなりに満足していた。ある日、恋人から「結婚してやる」と言われ、小さな違和感を感じる。「どうして、この人は『私が結婚を喜んでいる』と思って疑わないんだろう…」―違和感は日に日に大きくなり、ハナは恋愛と仕事について模索していくことになるのだが…。人生の勝ち負けなんて、誰が分かるというのだろうか。圧倒的リアルと共感が心にささる傑作長編。
「BOOK」データベースより


「私は何をすることで、自分だけの城を作れるんだろう? 母のような城はいやだ、チサトのような城もいやだ、タケダくんの城にも住みたくない、いやだとやりたくないばかりくりかえして、私はその先に進めるんだろうか?」
「結婚に思うところがあるわけではない、私はただ、変わってしまう、ということがこわかっただけなのだ。金太郎飴の外気に触れない真ん中に居続けたかった。」
「『みんなひとつずつ手に入れて、一歩ずつ先に歩いてるのに、私だけいつまでも手ぶらで、じたばたしてるだけなんだよ』」

そこから動きたくない、と思っているうちに周りはどんどん進んで自分だけ取り残されてく焦燥感や、何かを失っていく喪失感は身につまされました。

また、手作り狂の母親のエピソードも自分の母と重なります。
小さいころは料理、お菓子、洋服、バッグ、なんでも手作りでした。
小学生のころ、親戚の家ではじめてマックのハンバーガーを食べたときは、軽いカルチャーショックでした(笑)
思春期にはハナのようにそういうものを疎ましく感じた自分がいました。
(今では尊敬していますけど)
ハナの妹の専業主婦のナエが、なんでもできる母のようにはできない自分に自己嫌悪を感じヒステリーをおこすシーンも、なんだかうなずけるのです。

「その人はその人になってくしかない」というチサトの一言。
ハナが百円ショップのマグカップを買い、歩き出すラスト。
これからも起こるだろういろいろな出来事に、つまずき、振り返り、寄り道しながらもゆっくりと進んでいこうとする姿に光が見えました。
角田光代 | Comments(0) | Trackback(0)
Comment

管理者のみに表示

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。