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2011/10/15

「夜行観覧車」 湊かなえ

夜行観覧車夜行観覧車
(2010/06/02)
湊 かなえ

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★★★☆

父親が被害者で母親が加害者―。高級住宅地に住むエリート一家で起きたセンセーショナルな事件。遺されたこどもたちは、どのように生きていくのか。その家族と、向かいに住む家族の視点から、事件の動機と真相が明らかになる。『告白』の著者が描く、衝撃の「家族」小説。
「BOOK」データベースより



文庫本の「告白」を読んでから他の著作にも興味が湧き、この本を借りようと予約したら、予約数がすでに3桁になっていました。
一年以上待って、回ってきた本です。

物語は、高級住宅地ひばりヶ丘に住む遠藤家と高橋家を軸に、隣家の小島さと子の語りを折り挟んで進んでいきます。

遠藤家はひばりヶ丘一小さな一軒家に住み、父親が工務店勤め、母親がスーパーのパート勤め。
一人娘の彩花は中学受験に失敗して以来ひどく荒れていて、癇癪を起こして大声を上げたり、物を投げたりする音が、隣近所まで響くほどだった。

対するは遠藤家の向かいに住む、立派な家屋の高橋家。
父親は医者で、母親はおっとりとした奥様、子どもたちはみな優秀。
殺人事件は、そんな高橋家のほうで起きた……。

人間の醜さや卑しさ、身勝手さが、時に狂気とまで思えるほどに顕著に描かれていました。
読み始めてすぐ、彩花のふてぶてしい態度や言動にものすごく腹立たしさを覚え、それに翻弄され機嫌をとる母親、傍観を決めこむ父親にも苛立ちました。
遠藤家だけでなく、のちに出てくる明里や、小島さと子も何か欠落しているように思えます。

でも彼らは、取り立てて悪人なのでも病んでいるのでもなく、ごく普通の人間が普通に生活しているなかでのありふれた出来事の一端。
そのリアルさが余計に気持ち悪いのです。
読みながら、心が消耗していくのが分かるのだけど、読みやすく飽きさせない展開と、視点の切り替えの面白さで話に引き込まれていきました。

事件の真相として、日々鬱積していたものが小さなきっかけによって決壊する、というのはよく語られていることです。
ただ、こうして事件の起きてしまった家と、起きそうだったけれど起きなかった家を対比して読んでいると、個人の感情の制御以上に、他人の偶然の言動で背中を押されてしまったり、逆に踏み止まったり、どちらにも転ぶことがあるのだと怖さを感じました。

暗澹たる気持ちで読んでいたら、最終的になんだか丸くまとまったのが意外というか、少し強引というか。
もちろん、救いがない悪意に満ちた終わり方をのぞんでいたわけではないですが、結末に衝撃があるのかなと予想していました。
(一度も出てこなかった小島さと子の夫が、実は小島さと子に殺されているのが最後の最後で分かる…のような展開かと勝手に邪推していた自分が恥ずかしい…。)
そんなわけで、若干拍子抜けした気持ちを引きずりながらも、読後感は悪くないお話でした。
ま行その他 | Comments(0) | Trackback(0)
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