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2011/07/14

「りかさん」 梨木香歩

りかさん (新潮文庫)りかさん (新潮文庫)
(2003/06)
梨木 香歩

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★★★☆

リカちゃんが欲しいと頼んだようこに、おばあちゃんから贈られたのは黒髪の市松人形で、名前がりか。こんなはずじゃ。確かに。だってこの人形、人と心を通わせる術を持っていたのだ。りかさんに導かれたようこが、古い人形たちの心を見つめ、かつての持ち主たちの思いに触れた時。成長したようことその仲間たちの、愛と憎しみと「母性」をめぐる書下ろし「ミケルの庭」併録。
新潮文庫HPより



梨木香歩さんの世界観や物の捉え方はとても独特、そして物語によって表情ががらりと変わる。
例えば「エンジェル エンジェル エンジェル」は大好きなお話です。
でも、もうずいぶん前に「からくりからくさ」を読んだ時、正直に言うと面白いと感じませんでした。
本作「りかさん」は、その「からくりからくさ」の物語の前の、ようこ(蓉子)とりかさんのお話。
それもあって、なんとなく読まずにいたのですが、今回たまたま図書館で手にとることになりました。

結果、今の歳になって読めてよかったです。
きっと「からくりからくさ」を読んだ頃の私では、感じることがもっと少なかったように思うから。



りかさんをようこに贈った際の、おばあちゃんの「説明書」には次のように書かれていた。

『ようこちゃん、りかは縁あって、ようこちゃんに貰われることになりました。りかは、元の持ち主の私が言うのもなんですが、とてもいいお人形です。それはりかの今までの持ち主たちが、りかを大事に慈しんで来たからです。ようこちゃんにも、りかを幸せにしてあげる責任があります』


人形には、かわいさの反面、怖さというか畏れを感じることがあります。
その目ですべてを見透かされるように感じたり、実は魂が宿っているのでは、人間が人形に姿をかえているのではと訝ったり。

けれど、「養子冠の巻」も「アビゲイルの巻」も、実のところ人形の恐ろしさではなく、人間の業の深さがもたらす恐ろしさを描いていました。
とくに「アビゲイルの巻」では、そのあまりのむごたらしさに、胸が苦しくなります。

人形に性格を持たせるのは簡単だ。人形は自分にまっすぐ向かって来る人間の感情を、律儀に受け取るから。


人間の都合や欲に翻弄される人形たち。
物語に重ねて、自分自身の過去を振り返り、あの人形はどうしただろう・・・と心穏やかではありませんでした。

それでも、それぞれの巻で、ようこ、りかさん、おばあちゃんが、丁寧に誠実に人形たちと向き合うことによって、救いの道が開かれていくことに、ほっと胸をなでおろしたのでした。

人形には顔があり、目があり、とても分かりやすい対象だけれど、きっとすべてのものに対する接し方、扱い方にも同じことが言えるのでしょう。
たとえば洋服。
雑に扱えば、すぐに傷むし、愛着を持って丁寧に扱えば、日を重ねても風合いとなって長く着られる。
食器も、家具も、家だって、同じこと。
とても当たり前のことだけれど、改めて気付かされたのでした。



併録されている「ミケルの庭」は、「からくりからくさ」を読んでいない人には唐突に感じるかも。
りかさんも登場しませんし。
私も仔細を忘れてしまっているので、また「からくりからくさ」を読み返してみたいような気持ちになりました。
今なら、感じられる部分が増えているといいのですが。
梨木香歩 | Comments(0) | Trackback(0)
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