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2010/12/13

「ポトスライムの舟」 津村記久子

ポトスライムの舟ポトスライムの舟
(2009/02/05)
津村 記久子

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★★★☆

お金がなくても、思いっきり無理をしなくても、夢は毎日育ててゆける。契約社員ナガセ29歳、彼女の目標は、自分の年収と同じ世界一周旅行の費用を貯めること、総額163万円。第140回芥川賞受賞作。
「BOOK」データベースより




芥川賞をとった表題作「ポトスライムの舟」と「十二月の窓辺」の2話を収録。
自分と同年代女性の作家さんなので、距離感をあまり感じることなく読めたような気がします。

ただ、読んでいて暗澹とした気分にはなりました。
後で知りましたが、津村さんご自身、勤務先の上司からひどいパワハラを受けていたそうで、とくに「十二月の窓辺」はそのときの実体験が元になっているのだそうです。

ツガワに浴びせられる上司の言葉の暴力に、一緒になって心が折れそうでした。
あまりにひどいモラルハラメントに憤りながらも、こんな理不尽な言われ方はそうそうないだろうと思いながら読んだので、二度驚かされました。

学校を卒業し、社会人一年生になったとき、新人はその職場の常識=社会全体の常識だと捉えてしまうことがよくあるように思います。
上司の一方的な言い様に、ツガワが尊厳を踏みにじられ、社会からも全否定されているように感じている姿がつらかった。

結局、どこへ行っても槍玉に挙げられる人間はいて、組織というものがその構造から脱することはないのだ、とツガワは大きな無力感に見舞われながら、日々の仕事に耐えていた。



「ポトスライムの舟」は、日常を淡々と描きながら、感情の動きが繊細にも間接的に表わされている印象を受けました。
私もポトスを水栽培しているのですが、わりと丈夫で、気づけばいつの間にか根は伸び、葉を増やしています。
可憐でも優美でもないただの葉なのだけど、そしてもちろん食べられもしないのだけど、目立つことはなくとも揺れながらも地道に生きていて、ナガセの姿にも重なるように感じたのでした。
た行その他 | Comments(0) | Trackback(0)
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