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2009/11/17

「f植物園の巣穴」 梨木香歩

f植物園の巣穴f植物園の巣穴
(2009/05/07)
梨木 香歩

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★★★★

植物園の園丁は、椋の木の巣穴に落ちた。前世は犬だった歯科医の家内、ナマズ神主、烏帽子を被った鯉、幼きころ漢籍を習った儒者、アイルランドの治水神…。動植物や地理を豊かにえがき、埋もれた記憶を掘り起こす会心の異界譚。
「BOOK」データベースより


返却してしまったので簡単に覚え書き。
梨木香歩さんの本は、10年ほど前に「からくりからくさ」「エンジェル エンジェル エンジェル」「西の魔女が死んだ」を読んだことがあります。
特に「エンジェル エンジェル エンジェル」は、とても心に響いたお話だった記憶があります。

さて、本作はというと、とても読みにくかったです。
かつて読んだ作品が比較的読みやすいものだったので、正直驚きました。
その書き口は、ついてこれる人だけついて来なさい、といっているかのようにさえ感じたほどでした。
まず主人公の男性の口調が硬い。
今よりも少し時代が遡るのかなという角張った印象。
そしてその語られる、夢と現実が、あるいは過去と現在が入り混じったような世界がとても突飛で不可思議で、内容をなぞるのに精一杯。

でも不思議と読むのをやめようと投げ出す気は起きず、時間はかかったけど最後まで読みました。
結末に辿り着いて本当によかった。
無秩序な世界のようでいて、そこにはちゃんと意味があり、すとんと心に落ち着いたのでした。
じんわりとしみ、優しく切ないお話でした。
本文にちらりと出てくる、芋虫が蛹から蝶へと変化し成長するさまが、主人公自身の心の変容と重なり、混濁した液状化の世界から新たな意味を持った現実へと飛躍する物語と重なって感じました。

この物語にはいくつかの穴が出てきます。
木のうろの穴、虫歯の穴、はたまた記憶の穴だったり。
私は常々、どんな穴にも暗くて中がよく見えず、じっとりと湿って、なんとなく吸い込まれそうな得体の知れない空恐ろしさがあると思っていたので、ここで描かれるその心もとない感覚にどきりとしたのでした。
初めて知った言葉。
園丁(えんてい)とは、辞書によると造園を仕事とする人のこと。
物語にはたくさんの植物が出てくるので、詳しい人は面白いのだろうなと思います。

自分評価を迷ったけど、読みにくいけれどまた読み直してみたいという気持ちになったので、★4つ。
梨木香歩 | Comments(0) | Trackback(0)
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