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2009/09/21

「いつか王子駅で」 堀江敏幸

いつか王子駅で (新潮文庫)いつか王子駅で (新潮文庫)
(2006/08)
堀江 敏幸

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★★☆☆

背中に昇り龍を背負う印鑑職人の正吉さんと、偶然に知り合った時間給講師の私。大切な人に印鑑を届けるといったきり姿を消した正吉さんと、私が最後に言葉を交わした居酒屋には、土産のカステラの箱が置き忘れたままになっていた…。古書、童話、そして昭和の名馬たち。時のはざまに埋もれた愛すべき光景を回想しながら、路面電車の走る下町の生活を情感込めて描く長編小説。
「BOOK」データベースより



紹介文を読んで、勝手に「時間給講師の私」を女性だと思って読み始めたのですが、男性が主人公でした。
堀江敏幸さんは以前に「めぐらし屋」を読んで以来、2冊目。
帰省の道中で読みました。

特徴といったら、一文の長さでしょうか。
「めぐらし屋」のときはそんな印象がなかったのですが、そうだったのかな?
読みやすいかどうかは別として、長い文をねじれないように紡げるというのは、頭のいい証拠、なんだと思います。
でも、芥川賞作家さんの書かれる文って、個人的には難解だったり意味不明だったりで、読みにくいことが多くて構えてしまうのですが、堀江敏幸さんは、比較的とっつきやすい文章の方です(失礼ですみません 笑)

とりたてて大きな事件も変化も起きない、淡々とした日常の出来事を綴っているのだけど、どこか引き込まれます。
登場人物は、強烈な個性を持っているわけではないのに、さりげなく気になる存在感を持っています。
競走馬の話は知らないことだし、王子という土地にもまったく馴染みがないのですが、ところどころで登場する古書についてはとても興味深く読みました。

くすりと笑ってしまう箇所がいくつかあります。
一番は、リサイクルショップで買った自転車を乗り回した後の、店主とのやりとり。
詳しくは書きませんが、あのオチはよかったです。

他にも、
「たとえば生き方を左右するような思考の足首が、私に備わっているだろうか? 珈琲を口にしながらそれとなく足もとに視線を落とすと、椅子に座っているせいでわずかに丈が短くなったズボンからはみ出している踝のうえの、靴下のワンポイントマークが左右ちがっていることに気づく。」
この、真面目に考えをめぐらしていた「私」が、揃いの靴下をはかずに出歩いてしまったという、ひどく情けないことに気づくところなど、意表をつかれました(笑)

主人公の「私」が、作者本人と重なっているように感じました。
数々の賞を受賞し、現在は大学教授という堅いイメージの堀江敏幸さんですが、実はとても面白い方なのかもなぁと勝手に想像しています。
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