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2009/07/02

「こうふく みどりの」 西加奈子

こうふく みどりのこうふく みどりの
(2008/02/28)
西 加奈子

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★★★★

以前「こうふく あかの」を読んで以来、少し間が空いてしまいましたが、やっとこちらを読むことができました。
途中からは一気読み、号泣でした。
母と娘、という関係を考えさせられたり、女の生き方を考えさせられたり、身近な面で自分自身に近いテーマだったからなのかも。

物語は、辰巳緑という14歳の少女の目線で描かれ、辰巳家の面々と、緑の学校生活が中心となっています。
関西弁で飾らない緑の語りは現実味を感じるし、緑の目に入る文字が太字となってそのまま書かれているのが、唐突だったり、逆にピッタリと合って話に活かされていたりして、おもしろかったです。

緑のおばあちゃん、未婚の母であるお母さん、従姉妹で出戻りの藍ちゃん、藍ちゃんの娘の桃ちゃん、猫のカミさん、ホトケさん、犬のポックリさん。
女性(とメス)だけしかいない、という複雑な家庭環境だけれど、辰巳家にはゆったりとした空気が流れ、とても居心地がよく、話を聞いてもらいたくて、お客さんが引きも切らずやってきます。
そんななか、近所に越してきた転校生、コジマケンの存在が気になり始め…物語は動き始めます。

以下ネタバレがあります。
緑の恋愛物語が中心かというと、そうでもないのです。
もちろんそれが話の軸にもなっているし、その恋の結末にはとても驚いたのですが。
「シゲの代わりに、どついてるんやど。」でスイッチが入って泣き通しでした。

緑目線の話の合間に、時代背景の異なる、別の人物の独白が折り挟まれます。
その人物は、はじめは誰だか分からないのですが、実は一人ではなくて、三人の女性がそれぞれに語っています。
ふわふわとして見える辰巳家の人達が、どんな過去を背負い、どんな思いを抱えて生きているのか。
そして棟田さんの人生も終盤でつながります。

本当は彼のためではなく、辛く苦しい目に合いながら彼のために自己犠牲を厭わない自分に酔い、彼を愛する自分自身を愛していたという棟田さんの気付き。
多くを語らずだらしなく見えるお母さんが、昔どれほどその人のことを愛していたのか。
そしておばあちゃんの罪の告白と、自らの業に苛まれていたという事実。

それぞれの独白が緑が見るだけの世界にぐっと厚みをもたらして、多面から見るおもしろさを味わえました。

それと、「焼肉 金」のテレビ撮影のシーンも、とても好きでした。
街の人の温かさもですが、ご主人の最後のセリフにぐっときました。

いい本に出会えました。
西加奈子 | Comments(0) | Trackback(0)
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