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2009/04/09

「九つの、物語」 橋本紡

九つの、物語九つの、物語
(2008/03)
橋本 紡

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★★★☆

大切な人を、自分の心を取り戻す再生の物語
大学生のゆきなのもとに突然現われた、もういるはずのない兄。だが、奇妙で心地よい二人の生活は、続かなかった。母からの手紙が失われた記憶を蘇らせ、ゆきなの心は壊れていく…。
集英社HPより



穏やかに進んでいく物語。
本好きの兄の影響を受けてか、ゆきなは兄の部屋の本を拝借してはよく読んでいて、その本の内容がゆきな自身の状況と少し重なり、本の題名がそのまま各話のタイトルになっています。

大学生のゆきなは、古い一軒家にひとりで暮らしています。
両親は、父の早期退職金にて海外へ長期旅行中(ちょっと現実味がないような…)。
紹介文にもそれらしいことが触れられているので書いちゃいますが、兄禎文は2年前に亡くなっています。
その兄が、ある日ゆきなの前に突然現れます。
いわゆる幽霊然としているのではなく、きちんと実体があってゆきな以外の人の目にも見え、得意の料理を作ったりそれを食べたりと普通に生活ができて、なんとも不思議な感じです。

ゆきなはその状況をなんとか受け入れ、何かしらの出来事はありつつも、二人で穏やかに暮らし始めます。
でも、恋人とのぎくしゃくした関係や、母から届いた手紙によって、ゆきなの心は壊れていきます。
後半は、そこからゆきなが自分をどう取り戻すのかと、兄の死の原因と兄が現れた理由が明らかになっていき、読み応えが増します。

禎文が、ちょっとありえないくらい素敵すぎるお兄さんなんです(笑)
読書家で、料理がとてもうまくて、女の子にもすごくもてて、でも妹思いで。
だから、ゆきなの心の弱さや、恋人の狭量さ、母親の無神経さなどがやたらひどく感じました。
でも温かく優しい気持ちになれるお話です。
そして、出てくる料理がとてもおいしそうで、食と読書という今の私の2大欲求をおおいに刺激してくれます(笑)

以下9話収録。

第一話「縷紅新草」 泉鏡花
第二話「待つ」 太宰治
第三話「蒲団」 田山花袋
第四話「あぢさゐ」 永井荷風
第五話「ノラや」 内田百
第六話「山椒魚(改変前)」 井伏鱒二
第七話「山椒魚(改変後)」 井伏鱒二
第八話「わかれ道」 樋口一葉
第九話「コネティカットのひょこひょこおじさん」 J・D・サリンジャー

主人公と同じく、読んでいる本が自分の状況や心境に重なって、ドキッとすることはよくあります。
本編の物語に加えて、登場するそれぞれの本と触れ合え、ゆきなの読書による内省も味わえるところもこの本のおもしろさのひとつ。
とても有名な著者の作品ばかりなのに、残念ながらというか恥ずかしながら、私は一冊も読んだ記憶のない本ばかりなのですが(あ、内田百さんは名前も存じ上げませんでした)、苦手意識の少しある古典にも興味がわきました。
は行その他 | Comments(2) | Trackback(1)
Comment
No title
先日は、ありがとうございました。
こちらにもトラックバックさせていただきました。
トラックバックお待ちしていますね。
No title
>藍色さん
お返事が遅くなってすみません。
コメント&トラックバックありがとうございます☆

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大切な人を、自分の心を取り戻す再生の物語 大学生のゆきなのもとに突然現われた、もういるはずのない兄。 奇妙で心地よい二人の生活は、し...

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