--/--/--

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
スポンサー広告
2007/10/07

「めぐらし屋」 堀江敏幸

めぐらし屋めぐらし屋
(2007/04)
堀江 敏幸

商品詳細を見る

★★★☆☆

こんなに静謐で淡々とした作品は久々に読んだかもしれません。
読み始めはとらえどころがなく、あまりに静かで何度か睡魔に襲われましたが、これは私の体調のせいということにしておきます(笑)

蕗子さんは会社勤めを20年近く続け、穏やかに暮らしている女性です。
蕗子さんが父のアパートで「めぐらし屋」と題された大学ノートを見つけるところから物語は始まります。
はじめは何のことだか分からず読み進めていくと、どうやらお父さんが急死し、一人住まいのアパートを引き払うために訪れたとのこと。
そのアパートに突然電話がかかり、
「……めぐらし屋さん、ですか?」と言われるのです。

はじめて聞く「めぐらし屋」という言葉にとまどいながら、生前の父についてノートと電話を手がかりにたどっていこうとするのです。
人との出会いや会話を通して、今まで知らずにいた父の姿を思い浮かべ、忘れていた自分の記憶をたぐりよせていくところが丹念に描かれています。

堀江さんの視点や表現には、はっとさせられるところがいくつもありました。
花屋の雨天の割引に対して、
「そうやって一部を安くすると、売り物すべての価値が下がるような気がしてならないのだった。」

長く一人暮らしをつづけていることに
「日を送ることにひそむ際限のない反復の魔を意識するようになってもいた。」

父のことを人から聞いたときに
「ヒントは、それを与える側の感性と受け取る側の感性のバランスによって、残酷に変化する。」

言葉の選択がすごくよくて、他にもユーモラスで独特な表現や比喩がたくさんあり、言葉遊びのように綴られているキーワードも箇所箇所で生きていて面白いです。
は行その他 | Comments(0) | Trackback(0)
Comment

管理者のみに表示

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。