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2011/10/30

「先生の隠しごと」 仁木英之

先生の隠しごと―僕僕先生先生の隠しごと―僕僕先生
(2011/04)
仁木 英之

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★★★☆

あなたの傷が深いほど、彼の言葉は優しく響く。その名はラクス、見目麗しき光の王―彼がプロポーズした相手は、なんと僕僕なのだった。いつもクールな美少女仙人の心が、悲しすぎる愛の記憶でグラグラ揺れる。お待たせ最新作、中国冒険ロードノベル第5弾。
「BOOK」データベースより



僕僕先生シリーズ第5弾。
面白かったです、面白かったんですけど…。
ちょっと僕僕先生が僕僕先生らしくない気がしました。
それに振り回されたいろんな人が気の毒というか。
先生が冴えなかったぶん、王弁がしっかり成長してましたけどね。
そして劉欣も人間らしさと、仲間意識がほんの少し育ってきた気がします。
次作に期待!

本の返却につき、取り急ぎ覚え書き。


「まあそう焦るな。キミにだって、いつかは歩けなくなるほどの何かが背中に乗るかもしれない。その時になったら、今の軽やかさを懐かしく思い出すことになるんだろうよ」

僕僕先生から王弁への言葉。
これは先生自身の心の内をあらわす言葉でもあるのかなぁ。
長く長く生きてきた仙人の女心は複雑です(笑)


「大切な人が迷って揺れている時は、一緒に揺れてはだめ。大樹のように動かず、その人がもたれかかれるように。雨風が吹きつけている時には、その枝で覆ってあげられるように」

こちらは薄妃の言葉より。
王弁にとって大切な気付きをもたらしたと思うし、私自身も思うところあって、じんときた言葉でした。
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仁木英之 | Comments(2) | Trackback(1)
2011/10/25

「小さいおうち」 中島京子

小さいおうち小さいおうち
(2010/05)
中島 京子

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★★★★

赤い三角屋根の家で美しい奥様と過ごした女中奉公の日々を振り返るタキ。そして60年以上の時を超えて、語られなかった想いは現代によみがえる。
「BOOK」データベースより



少し前に「エルニーニョ」を読んでから、気になり始めた中島京子さん。
本作は直木賞受賞作ということで、なかなか予約がまわってこなかったけれど、待った甲斐がありました。

タキの手記を読む形で進んでいく物語は、昭和の初めから始まります。
東北から、女中として働くために上京してきたタキは、美しく年若い時子奥様に仕えることに。
時子奥様は、前夫との間に恭一ぼっちゃんをもうけ、その後平井氏と再婚。
平井の旦那様が建てた「小さいおうち」で、3人の家族とタキが過ごす様が事細かく記されていきます。

読み始めは、少し退屈な物語なのかなと心配したのもつかの間、東京でのモダンな暮らしや、女中の仕事ぶりは物珍しく、だんだん引き込まれていきました。
タキの手記は、時々現代に戻り、タキの又甥にあたる健史が、記述に対し意見を述べている箇所があり、その時代を経験したことのない私のような読者の代弁をしてくれています。

時代は、徐々に戦争へと突き進んでいきますが、平井家やその周辺の人々の生活にじわりじわりと暗い影を落としながらも、身に危険が迫るそのときまで、日々は淡々と営まれる。
むしろ、旦那様は戦争によってもたらされた好景気と会社の発展に喜び、タキは上手にやり繰りをしながら平井家の生活レベルを保とうとし、時子奥様もたおやかに過ごしている様子が伺える。
市井の人、特に社会と関わりの薄い人には戦争がどこか遠くで起こっている他人事のように描かれていて、興味深いです。
それはもちろん、情報が公にされず、行き届いていなかったことが大きな理由になるでしょう。
それだけでなく、混乱のただ中にいた時には、その本流に飲み込まれていることさえ気づかないものなのかもしれません。
きっと、何十年もあとになって振り返ると、あのときはああだった、と知る部分も多いのだと思います。
話は大きく逸れますが、今現在の暮らしぶりは、何十年か先の人たちの目にはどう映っているのだろう、危機感の薄い、ひどくのんびりした様に見えるのだろうか、と思わず重ね合わせて考えずにはいられなくなりました。

最終章は、又甥の健史によって語られます。
そこで知ることになった後日談と、ある事実に、心を大きく揺さぶられました。
これまで読んできたタキの手記を思い返し、語られなかった部分の切なさを思いました。
そして、その時代の持つ暗さを改めて知り、だからこそ「小さいおうち」でのやわらかい光に包まれたように記された温かさが心を打ちました。
読み終えて数日経つ今も、その余韻が残っています。

バージニア・リー・バートンという作家の絵本「ちいさいおうち」と関わりがあるそうですが、残念ながら未読です。
どうやら表紙の絵も、オマージュしている様子。
図書館で探してみたいと思います。
中島京子 | Comments(0) | Trackback(0)
2011/10/15

「夜行観覧車」 湊かなえ

夜行観覧車夜行観覧車
(2010/06/02)
湊 かなえ

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★★★☆

父親が被害者で母親が加害者―。高級住宅地に住むエリート一家で起きたセンセーショナルな事件。遺されたこどもたちは、どのように生きていくのか。その家族と、向かいに住む家族の視点から、事件の動機と真相が明らかになる。『告白』の著者が描く、衝撃の「家族」小説。
「BOOK」データベースより



文庫本の「告白」を読んでから他の著作にも興味が湧き、この本を借りようと予約したら、予約数がすでに3桁になっていました。
一年以上待って、回ってきた本です。

物語は、高級住宅地ひばりヶ丘に住む遠藤家と高橋家を軸に、隣家の小島さと子の語りを折り挟んで進んでいきます。

遠藤家はひばりヶ丘一小さな一軒家に住み、父親が工務店勤め、母親がスーパーのパート勤め。
一人娘の彩花は中学受験に失敗して以来ひどく荒れていて、癇癪を起こして大声を上げたり、物を投げたりする音が、隣近所まで響くほどだった。

対するは遠藤家の向かいに住む、立派な家屋の高橋家。
父親は医者で、母親はおっとりとした奥様、子どもたちはみな優秀。
殺人事件は、そんな高橋家のほうで起きた……。

人間の醜さや卑しさ、身勝手さが、時に狂気とまで思えるほどに顕著に描かれていました。
読み始めてすぐ、彩花のふてぶてしい態度や言動にものすごく腹立たしさを覚え、それに翻弄され機嫌をとる母親、傍観を決めこむ父親にも苛立ちました。
遠藤家だけでなく、のちに出てくる明里や、小島さと子も何か欠落しているように思えます。

でも彼らは、取り立てて悪人なのでも病んでいるのでもなく、ごく普通の人間が普通に生活しているなかでのありふれた出来事の一端。
そのリアルさが余計に気持ち悪いのです。
読みながら、心が消耗していくのが分かるのだけど、読みやすく飽きさせない展開と、視点の切り替えの面白さで話に引き込まれていきました。

事件の真相として、日々鬱積していたものが小さなきっかけによって決壊する、というのはよく語られていることです。
ただ、こうして事件の起きてしまった家と、起きそうだったけれど起きなかった家を対比して読んでいると、個人の感情の制御以上に、他人の偶然の言動で背中を押されてしまったり、逆に踏み止まったり、どちらにも転ぶことがあるのだと怖さを感じました。

暗澹たる気持ちで読んでいたら、最終的になんだか丸くまとまったのが意外というか、少し強引というか。
もちろん、救いがない悪意に満ちた終わり方をのぞんでいたわけではないですが、結末に衝撃があるのかなと予想していました。
(一度も出てこなかった小島さと子の夫が、実は小島さと子に殺されているのが最後の最後で分かる…のような展開かと勝手に邪推していた自分が恥ずかしい…。)
そんなわけで、若干拍子抜けした気持ちを引きずりながらも、読後感は悪くないお話でした。
ま行その他 | Comments(0) | Trackback(0)
2011/10/08

「女ともだち」 角田光代、栗田有起 他

女ともだち女ともだち
(2010/03/18)
角田 光代、栗田 有起 他

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★★★☆

人気女性作家による「派遣社員」作品集!
角田光代、井上荒野、唯野未歩子、栗田有起、川上弘美さんら人気作家5人が描く「女ともだち」。
主人公は誰もが「派遣」。仕事や恋をからめた「友だち模様」が、じんわりとくっきりと描かれた魅力たっぷりの小説集です。
小学館HPより



少し前まで、アンソロジーってまったく読まなかったんですが、最近食指が動くようになりました。
テーマが明確なのであまり裏切られないのと、テーマに対して作家さんがいろんなアプローチを仕掛けてくるのを比べ読みできて面白いです。
重厚さや濃密なものではなく、軽めの本が読みたいときに、借りるようにしています。
たいていはこの本のように、好きな著者の名前が並んでると手がのびるわけですが、それまで読んでいなかった作家さんの面白さを知るきっかけになったりもします。
今回の唯野未歩子さんもそうでした。

以下5作品。
「海まであとどのくらい?」 角田光代
「野江さんと蒟蒻」 井上荒野
「その角を左に曲がって」 栗田有起
「握られたくて」 唯野未歩子
「エイコちゃんのしっぽ」 川上弘美


私も派遣社員だった時期があるので、彼女たちの行動に、自分と重なる部分もあって親近感をいだく話が多かったです。
正社員との関係、待遇、派遣同士の連帯感、職場での立ち位置など、リアリティがありました。

「野江さんと蒟蒻」は、女ともだちって言えるのかな。
野江さんの真意がよく分からなかったし、分かったら分かったで、怖くもある。
でも、唖然としてしまうインパクトがありました。

角田さんと川上さんは、それぞれらしさが出ていて、安心して読んでいられる。
でも今回好きだったのは、栗田さんの「その角を左に曲がって」と、唯野さんの「握られたくて」。

「その角を左に曲がって」の、いつも左側ばかりに怪我をするひとみさん。
話の展開に心がざわついたけれど、彼女はたくましいなと思った。
そういう仕事内容も働くフロアも年齢も違う女性とだって、友情は成立するんだと、読み終えて元気をもらった。

「握られたくて」は、冒頭ではピンとこなかったけど、夜釣りの話のあたりからすごくユーモアがきいてるなと俄然面白くなりました。

旦那に至っては、青っぽい迷彩柄のTシャツのうえに、ところどころメッシュ状になった、やばいベストをはおっていた。


目に浮かんで、思わず噴き出しました。
こぶちゃんの話だけで終わるかと思ったら、きっちりと女ともだちの話でした。
うまい!


アンソロジー | Comments(0) | Trackback(0)
2011/10/07

「儚い羊たちの祝宴」  米澤穂信

儚い羊たちの祝宴儚い羊たちの祝宴
(2008/11)
米澤 穂信

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★★★☆

いつも引用させてもらってる、「BOOKデータベース」や出版社HPの紹介文が、適切でない気がしたので割愛。
物語はとても面白かったです。

5編の短編集。
「身内に不幸がありまして」
「北の館の罪人」
「山荘秘聞」
「玉野五十鈴の誉れ」
「儚い羊たちの晩餐」

舞台はおそらく少し前の時代で、お嬢様、または使用人の女性が、語り部となって物語が紡がれていきます。
その丁寧な口調が時代がかっていて、でもどこか淡々としていて、残酷な物語に独特の雰囲気を添えます。
米澤穂信さんのミステリー作品はいくつか読んできましたが、こういう話も書くんだなと新鮮でした。

どれも独立した短編として、構成のうまさや結末の締め方が素晴らしかったです。
そしてタイトルの付け方も。
先の4話には「バベルの会」という、ある大学の読書クラブの存在が大なり小なりほのめかされ、最後の「儚い羊たちの晩餐」ではその「バベルの会」の存亡に関わる物語が繰り広げられていて、1冊の本としても完成度が高いと思います。
少し惜しいかなぁと思ったのは、全体的に統一感があるので、多少平板に感じてしまったことでしょうか。

最終話で鞠絵の日記が途中で切れているのは、やはり彼女もその瞬間に羊の仲間入りをしたということを現わしているのでしょうか。
そしてそもそも、これらの物語は彼女たち「夢想家」の虚構なのではないかという疑問も湧きあがってくるのです。

何でも大学には、創作を専らとする文芸倶楽部と、読書を専らとする「バベルの会」があり、お嬢さまは迷わず「バベルの会」を選ばれたそうです。
(「身内に不幸がありまして」より)


「バベルの会」メンバーが創作をしていないと言い切れるでしょうか。
私がそう思いたいだけなのかもしれませんが。
明かされない部分が、想像力をかき立てる物語でした。
や行その他 | Comments(0) | Trackback(0)
2011/10/04

「子どもたちは夜と遊ぶ」 辻村深月

子どもたちは夜と遊ぶ(上)子どもたちは夜と遊ぶ(上)
(2005/05/10)
辻村 深月

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子どもたちは夜と遊ぶ (下)子どもたちは夜と遊ぶ (下)
(2005/05/10)
辻村 深月

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★★★★

優しく触れようとしても壊してしまう、大人になりきれない子どもたちは、暗い恋の闇路へと迷い込んでしまった…。同じ大学に通う仲間、浅葱と狐塚、月子と恭司。彼らを取り巻く一方通行の片想いの歯車は、思わぬ連続殺人事件と絡まり、悲しくも残酷な方向へと狂い始める。掛け違えた恋のボタンと、絶望の淵に蹲る殺人鬼の影には、どんな結末が待っているのか。
「BOOK」データベースより(上巻)

もう、一人の夜には帰りたくない―。残虐非道な事件に潜む、孤独な殺人鬼と彼を操る共犯者の存在。罪の意識に苛まれながらも、二人の間で繰り返される恐ろしい殺人という名の遊びは、一体いつまで続くのか!?そして傷つけずには愛せない、歪で悲しい恋の行方の結末とは…。辛い過去を孕んだ事件の真相は少しずつ解き明かされ、漆黒の闇を照らしていく。
「BOOK」データベースより(下巻)



辻村深月さんの長編を読むといつものことだけど、上巻を1週間くらいかけて、下巻を1日で読んでしまいました。
今度こそ騙されない!と注意深く読んでいても、ある部分で完全に騙されてしまったミスリードの巧さ。
(でも今回の「i」の正体は予想が当たったので、してやったり。…それも作者の計算のうちだったりして。)
とくに下巻から畳みかけてくる、痛々しさと熱い感情の波に心が翻弄されて、ページを繰る手がとまりませんでした。
さすがです。

この話を、ネタばれしないように感想を書くのは難しい。
切なくて苦しい残酷な物語だけれど、最後に少しだけ救われたような。
でも、やっぱり罪のない人が理不尽に殺められていくことを、正当化はできない。
ざらついた苦い気持ちは残りました。

昔読んだ「ぼくのメジャースプーン」ともつながってると知りましたが、内容をほとんど忘れてしまっているので、読み返したいな。
あちらもすごく、えぐられるような話だったですけどね(笑)
辻村深月 | Comments(0) | Trackback(0)
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