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2011/07/29

「別冊 図書館戦争Ⅱ」 有川浩

別冊 図書館戦争〈2〉別冊 図書館戦争〈2〉
(2008/08)
有川 浩

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★★★☆

大好評『図書館戦争』シリーズ、スピンアウト第2弾!そんで、結局あの人たちは?これにて幕引き。
「BOOK」データベースより



ああ、これで図書館戦争シリーズも読み納め。
少し寂しい。

ハッピーエンドで終わるこのスピンオフ本、これぞ大団円!とは感じないのは、話のなかの事件が、あまりに後味が悪かったから。
それに、意外性のない展開だったのも、予定調和に感じました。
怪しい奴だと思った人物が、そのまま本当に悪い奴だった(笑)
解決したけど、爽快感もなかったですね。
むしろ、ぞっとした。
シリーズの最終話なので、もうちょっと気持ちよく読み終えられたらよかったなと、ほろ苦い思いが残ってしまいました。
別冊Ⅰがベタ甘だったので、少し締めたのでしょうか。

なんて辛口なことを書いてしまいましたが、好きなシリーズのエピソードを、別冊の形でより多く読めたのはファンとしてやっぱり嬉しいです。
みんな幸せになってほしいし、きっとそうなるだろうなぁ。
シリーズ通して、ドキドキ、ニヤニヤの時間をたくさんありがとうございました。
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有川浩 | Comments(0) | Trackback(0)
2011/07/17

「エルニーニョ」 中島京子

エルニーニョ (100周年書き下ろし)エルニーニョ (100周年書き下ろし)
(2010/12/10)
中島 京子

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★★★★

女子大生・瑛は、恋人から逃れて、南の町のホテルにたどり着いた。そこで、ホテルの部屋の電話機に残されたメッセージを聞く。「とても簡単なのですぐわかります。市電に乗って湖前で降ります。とてもいいところです。ボート乗り場に十時でいいですか?待ってます」そして、瑛とニノは出会った。ニノもまた、何者かから逃げているらしい。追っ手から追いつめられ、離ればなれになってしまう二人。直木賞受賞第一作。21歳の女子大生・瑛と7歳の少年・ニノ、逃げたくて、会いたい二人の約束の物語。
「BOOK」データベースより



とても面白かったです。
21歳の瑛(テル)は、恋人のニシムラから逃げ、たどりついた南の町のボート乗り場で、7歳のニノと出会う。
そのニノもまた、「灰色」から逃げてきたのだった。

それぞれが抱える事情は、とても重い。
けれど、夏の南国のおおらかさと、そこで出会う人たちの優しさや温かさから、いくぶん軽やかに、そして逃避行物語ならではのテンポのよさで、一気に読めました。

途中途中で折りはさまれる挿話は、物語に深く関わるものもあれば、一見関係のない話のようなものもあって、いくらでも深読みできそうな雰囲気を持っていました。

「歌にはみんな意味があるの。書かれたものはみんなそう。なんにでも、ちゃんと意味があるの。言い換えればね、お嬢さん。歌は、受け取った人のものなの。そこにお嬢さんだけが読めるメッセージを見つけたら、ちゃんと受け取らなくちゃいけないの。逃げるのよ、いい?」


最初のころに出てくる、スーザン・ボイルに似た、ストリートパフォーマーの言葉。
これは、読者に向けられた作者からのメッセージなのかなと思いました。

逃避行には、いつかは終わりが来ると瑛自身も分かっている。
夏休みに、終わりがあるように。
この逃避行のなかで、どんどん「タフ」になり、自立心と行動力を身につけていく瑛。
だけど、まだ幼いニノはどうなってしまうのか。
後半は特にドキドキしながらページをめくりました。

結末。
ちょっとうまく行きすぎかと思うほど、清々しく温かい読後感でした。
夏におすすめの一冊。
中島京子 | Comments(2) | Trackback(1)
2011/07/14

「りかさん」 梨木香歩

りかさん (新潮文庫)りかさん (新潮文庫)
(2003/06)
梨木 香歩

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★★★☆

リカちゃんが欲しいと頼んだようこに、おばあちゃんから贈られたのは黒髪の市松人形で、名前がりか。こんなはずじゃ。確かに。だってこの人形、人と心を通わせる術を持っていたのだ。りかさんに導かれたようこが、古い人形たちの心を見つめ、かつての持ち主たちの思いに触れた時。成長したようことその仲間たちの、愛と憎しみと「母性」をめぐる書下ろし「ミケルの庭」併録。
新潮文庫HPより



梨木香歩さんの世界観や物の捉え方はとても独特、そして物語によって表情ががらりと変わる。
例えば「エンジェル エンジェル エンジェル」は大好きなお話です。
でも、もうずいぶん前に「からくりからくさ」を読んだ時、正直に言うと面白いと感じませんでした。
本作「りかさん」は、その「からくりからくさ」の物語の前の、ようこ(蓉子)とりかさんのお話。
それもあって、なんとなく読まずにいたのですが、今回たまたま図書館で手にとることになりました。

結果、今の歳になって読めてよかったです。
きっと「からくりからくさ」を読んだ頃の私では、感じることがもっと少なかったように思うから。



りかさんをようこに贈った際の、おばあちゃんの「説明書」には次のように書かれていた。

『ようこちゃん、りかは縁あって、ようこちゃんに貰われることになりました。りかは、元の持ち主の私が言うのもなんですが、とてもいいお人形です。それはりかの今までの持ち主たちが、りかを大事に慈しんで来たからです。ようこちゃんにも、りかを幸せにしてあげる責任があります』


人形には、かわいさの反面、怖さというか畏れを感じることがあります。
その目ですべてを見透かされるように感じたり、実は魂が宿っているのでは、人間が人形に姿をかえているのではと訝ったり。

けれど、「養子冠の巻」も「アビゲイルの巻」も、実のところ人形の恐ろしさではなく、人間の業の深さがもたらす恐ろしさを描いていました。
とくに「アビゲイルの巻」では、そのあまりのむごたらしさに、胸が苦しくなります。

人形に性格を持たせるのは簡単だ。人形は自分にまっすぐ向かって来る人間の感情を、律儀に受け取るから。


人間の都合や欲に翻弄される人形たち。
物語に重ねて、自分自身の過去を振り返り、あの人形はどうしただろう・・・と心穏やかではありませんでした。

それでも、それぞれの巻で、ようこ、りかさん、おばあちゃんが、丁寧に誠実に人形たちと向き合うことによって、救いの道が開かれていくことに、ほっと胸をなでおろしたのでした。

人形には顔があり、目があり、とても分かりやすい対象だけれど、きっとすべてのものに対する接し方、扱い方にも同じことが言えるのでしょう。
たとえば洋服。
雑に扱えば、すぐに傷むし、愛着を持って丁寧に扱えば、日を重ねても風合いとなって長く着られる。
食器も、家具も、家だって、同じこと。
とても当たり前のことだけれど、改めて気付かされたのでした。



併録されている「ミケルの庭」は、「からくりからくさ」を読んでいない人には唐突に感じるかも。
りかさんも登場しませんし。
私も仔細を忘れてしまっているので、また「からくりからくさ」を読み返してみたいような気持ちになりました。
今なら、感じられる部分が増えているといいのですが。
梨木香歩 | Comments(0) | Trackback(0)
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