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2009/10/25

「架空の球を追う」 森絵都

架空の球を追う架空の球を追う
(2009/01)
森 絵都

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★★★☆

やっぱり罠にはまった。そんな気がする。ふとした光景から人生の可笑しさを巧妙にとらえる森絵都マジック。たとえばドバイのホテルで、たとえばスーパーマーケットで、たとえば草野球のグラウンドで、たとえばある街角で…人生の機微をユーモラスに描きだすとっておきの11篇。
「BOOK」データベースより


森絵都さんの本は久しぶりに読みます。

その辺に転がっているような日常を切り取ったものから、海外を舞台にしたものまで、様々なシチュエーションをリアリティ感じる鋭い視点で描いた短編集。
相変わらず簡潔な文章でとても読みやすく、短編ならではのうまい構成でさらりと楽しめました。
どれも女性の目線で書かれた話と思われ、私にはイメージを掴みやすかったです。

笑ったのが「パパイヤと五家宝」。
ありありと目に浮かびます、こういう光景。
私も月に2、3度はちょっと高級なスーパーに立ち寄る(本書ほど高級ではありませんが)ので、自分を見ているかのようでした。
なにせそのスーパーに行くと、他人の買い物カゴの中が気になるのです(笑)
オチも明快で笑ってしまいました。

「夏の森」もよかったです。
自由ホンポウとカブトムシの接点には、なるほどそういうわけが…。
子供時分の捉え方と妻であり母である現在から見た捉え方が、思い出された過去と共に見事に対比されていて、うまいなぁとうなってしまいます。
最後の6行あたりがとても憎い。

「あの角を過ぎたところに」は、ちょっと話が出来すぎかなとも思ったけど、結びがそこに行き着くとは、という驚きがありました。
余韻をもたせる結末に、読後もしばし心がざわめいていました。

そして最終編の「彼らが失ったものと失わなかったもの」。
たった6ページのこの物語の後味がとてもよく、気持ちよく読み終えることができました。
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ま行その他 | Comments(0) | Trackback(0)
2009/10/22

「すきまのおともだちたち」 江國香織

すきまのおともだちたち (集英社文庫)すきまのおともだちたち (集英社文庫)
(2008/05/20)
江國 香織

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★★★☆

庭で育てたレモンの木からレモネードを作り、針仕事で暮らしている「おんなのこ」。両親は最初からなく、車も運転できる古びた「お皿」と住んでいる―。仕事で訪れた街で道に迷い、帰れなくなった新聞記者の「私」は、客として彼女たちにもてなされることになるのだが…。けっして変わらないものが存在し続ける、そんな場所で出会った、小さな女の子との、いっぷう変わった長い長い友情の物語。
「BOOK」データベースより


移動の道中で慌しく読んだ本。
読み方とタイミングが悪かったのか、好きな江國さんの本なのだけど、この世界観に浸りきることができませんでした。
残念。
あ、でも海辺での風呂敷とのシーンは妙に好きです。
それに、最後に女の子が、「過去の思い出」について語るシーンも。
(なんだかんだ言って、けっこう浸っていますね 笑)

大人のための童話、といった感じで書かれた、やわらかいです・ます調の文章は、読んでいて少し退屈だけど心地いい。
それに、はっとする素敵な言葉にもたくさん出会えました。
そのことだけを取っても、読んでよかったなと思います。

中でも心に響いたのは、お皿のこの言葉。

「私たちをほんとうにしばるのは、苦痛や災難や戸棚ではないのよ。幸福な思い出なの。それに気づいたとき、私はとびだす決心をした。
やってみれば簡単なことだった」



さらに文庫本を借りたおかげで、好きな歌人の東直子さんの解説を読むことができました。
この解説が本当に素晴らしくて、東さんのことをまた好きになってしまった。
東さんは冒頭でこう述べます。

「読み返すたびに、心に響く部分がまるで違うことがあり、驚いてしまう。すっかり忘れていた場面に、妙に反応してしまったり。なぜそんなふうに、読むたびに感じ方が変わるのか。答は簡単。自分が変わったからである。本の中身は変わらないのだから。(中略)書いた人が、読んだ人が、どんなに変わっても、たとえこの世にいなくなったとしても、どんなに時代が移り変わっても、本の中の世界は、永遠だ。」


然り。
そうですね、東さん。
そういうことを、この本はとりわけ感じることのできるお話だと私も思います。
江國香織 | Comments(2) | Trackback(0)
2009/10/16

「こいしり」 畠中恵

こいしりこいしり
(2009/03/27)
畠中 恵

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★★★☆

「あのね、この子猫達、化けるんですって」お気楽跡取り息子・麻之助に託された三匹の子猫。巷に流れる化け猫の噂は、じつは怪しい江戸の錬金術へとつながっていた!?町名主名代ぶりも板につき、絶妙の玄関捌きがいっそう冴えながらも、淡い想いの行方は皆目見当つきかねる麻之助。両国の危ないおニイさんたちも活躍するまんまことワールド第二弾。
「BOOK」データベースより


図書の返却期限が近づき、返してしまっため、簡単な覚え書きと感想のみ。

この間、畠中恵さんの本を読んだばかりで、それがいまいちだったものだから少し冷却期間を置きたかったのだけど、図書館の予約の順番というのは自分の意とは関係なく、おかまいなしに周ってくるものでして。

でもこちらはやはり好きなシリーズということもあって、面白かったです。
麻之助とお由有、お寿ずの関係は、今後円満にいくのか、続編が待ち遠しいです。
畠中恵 | Comments(2) | Trackback(1)
2009/10/16

「論理と感性は相反しない」 山崎ナオコーラ

論理と感性は相反しない論理と感性は相反しない
(2008/03)
山崎 ナオコーラ

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★★★☆

神田川歩美、矢野マユミズ、真野秀雄、アンモナイト、宇宙、埼玉、ボルヘス、武藤くん。神田川(24歳、会社員)と矢野(28歳、小説家)の2人を中心に、登場人物がオーバーラップする小説集。「小説」の可能性を無限に拡げる全15編。
「BOOK」データベースより


図書の返却期限が近づき、返してしまっため、簡単な覚え書きと感想のみ。

度肝を抜かれるような名前とデビュー作から、なんとなく近寄りがたかった山崎ナオコーラさん。
初めて読んでみました。

短編なのですが、話にところどころつながりがあり、面白い構成となっています。
いたって真面目に、ふざけたことを書いてます(笑)
レビューなど見ていると、賛否両論のようなのですが、私は1話目の表題作「論理と感性は相反しない」から、好きだなぁと思いました。
さらりと読みやすいし、共感できる感覚がわりとあります。
(と同時に、訳の分からないものもあり 笑)
遊び心満載で、後半にいくにつれ、え?と思うところもありましたが、このはちゃめちゃ感は癖になりそう。

表題作の他、印象に残ったのは「恐怖の脅迫状」「まったく新しい傘」。
他の作品も読んでみようかな。
や行その他 | Comments(0) | Trackback(0)
2009/10/08

「むかし女がいた」 大庭みな子

むかし女がいたむかし女がいた
(1994/03)
大庭 みな子

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★★★☆

むかし、女がいた。女は男が何かというと、「女には論理がない」と言っていたことを思い出していた。あれはどういうことだったのかしら…。永遠に解けない〈女と男の謎〉を、伊勢物語ふうの自在な筆で捉える連作小説。
「MARC」データベースより


借りたのは近年発刊された文庫本のほうではなくて、昔の単行本のほうです。
図書館でこの本を何度か見かけては開き、なんとなく惹かれていたのですが、ここにきて何度目かの正直で、ようやく借りるに至りました。

寓話調、散文調、詩、会話文など、形式にとらわれない、28の物語。
そのほとんどが「むかし、女がいた。」という書き出しで始まります。

女と男それぞれが持つサガが見せる、様々な表情を切り取っています。
時に痛烈な直接的表現で、時にたとえ話のように。
女が女として生きていけば、誰もが「抜けない刺」を持っているのかもしれません。
とりとめもないなかに、そんな怒り、嘆き、諦め、嫉妬、不満、嫌悪、不思議さなどなどが詰め込まれています。
単にフェミニズムを訴えているかというとそういうわけでもなく、女は大胆なしたたかさやずるさを持ち、男は不遜で愚かしくも愛おしく、双方とも相容れぬ生き物だということを認め、また永遠に分かり合えないからこそ、それぞれを賛歌しているようにも感じるのです。

私自身は、フェミニズムに対しての強い思い入れがあるほうではりません。
「抜けない刺」を刺されることももちろんあるけれど、波風を立てることが得意でないので無意識に痛みに鈍感であろうとしているし、逆に女性であることでの恩恵もたくさん受けてきました。
そんな私にとっては、なんだか心苦しくなる物語も多く、その突きつけられたものに目を背けたくなった気持ちのほうが強いかも。
でも、苦しいなりにもいろんな視点を知ることができて、読んで損はなかったと思いました。

5つ目の鈴虫の話、7つ目の猫のように寝そべって待つ女の話、25番目の詩が、非常に印象的でした。

作者の大庭みな子さんは2007年に亡くなられていました。
略年表を見たのですが、なんだか気になる作家さんであります。
彼女の作品を少しずつ読んでいけたらなと思います。

女の姿がよく見えない者を男という
男の姿がよく見えない者を女という

いや 全然べつの ありもしないものを
女だと思っている者を男という

そして 全然べつの ありもしないものを
男だと思っている者を女という

何もかも よく見えるようになった者は
女でも 男でもない


むかし女がいた
あ行その他 | Comments(0) | Trackback(0)
2009/10/05

「こころげそう」 畠中恵

こころげそう 男女九人 お江戸恋ものがたりこころげそう 男女九人 お江戸恋ものがたり
(2008/01/22)
畠中 恵

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★★☆☆

江戸・橋本町の下っ引き宇多が、恋しい思いを伝えられぬまま亡くしたはずの、於ふじが帰ってきた―幽霊の身となって!神田川でこときれた於ふじと千之助兄妹の死の真相を探るうちに、九人の幼なじみたちそれぞれの恋や将来への悩みが絡み合ってきて―ほんのりせつない大江戸青春恋物語。
「BOOK」データベースより



心化粧(こころげそう)…口には言わないが、内心恋こがれること
という意味だそうです。

本文にもありましたが、この時代は歩いていける距離が生活圏内だそうなので、狭い範囲での恋模様というのは当然のことと言えるかもしれません。
このお話では、ミステリーを軸に、男四人、女五人の幼なじみたちの気持ちが絡み合う恋愛が描かれていました。
もちろん現代よりも、結婚が家や商売の繁栄、存続に直結するもので、親の意向が重視されることもあり、お互いの気持ちのままに恋が成就できず、叶わぬ恋となることも多かったのでしょう。
そんなせつなさを感じる場面がいくつもありました。

それぞれの話に謎解きが散りばめられ、面白かったのは面白かったのです。
でも、畠中恵さんのお話はいつも楽しく読ませていただいてますが、期待が大きすぎてしまったのかな。
特に魅力的な人物がいたわけでなく、また誰かに感情移入するということもありませんでした。
結末の大筋がある程度予想できるもので、存外すっと終わってしまった感じがして、ちょっと物足りない感じがしてしまいました。
畠中恵 | Comments(0) | Trackback(0)
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