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2008/08/28

「回転ドアは、順番に」 穂村弘 東直子

回転ドアは、順番に (ちくま文庫 ほ 20-1)回転ドアは、順番に (ちくま文庫 ほ 20-1)
(2007/11)
穂村 弘東 直子

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★★★★☆

一組の男女の出会いから別れまでを、地の文を交えながら短歌で綴っていくこの作品。
穂村さんと東さんが、それぞれメールでやりとりしながら短歌を連ねたものを、一つのストーリーとして完成させたものだそうです。
地の文といっても、詩的、散文的な文章なのがまたよくて、短歌との相乗効果をもたらしています。
ブルドックのくだりや「臼」という文字についてのユーモラスな表現には、思わず頬が緩んでしまいます。
言葉のおもしろさ、日本語の美しさを存分に感じられます。

東直子さんの小説を読んだことはあったけど、歌人としての作品には触れたことがなかったので、他の方のブログでこの作品の存在を知って、読んでみたいなぁと思っていました。
いわゆる現代短歌にはほとんどなじみがなく、穂村弘さんの作品も読んだことがありません。
短歌というと難しく考えてしまいそうだけど、ここにでてくる歌は、とても親しみやすく感じました。
モスバーガーがでてきたり、メリーさんの羊がでてきたりとおもしろい。
そして読んでいくうちに、もし感覚の毛穴というものがあるのなら、それがばあっと開いていく感じがしました。
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は行その他 | Comments(0) | Trackback(0)
2008/08/28

「名もなき毒」 宮部みゆき

名もなき毒名もなき毒
(2006/08)
宮部 みゆき

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★★★☆☆

著者三年ぶりの現代ミステリー。編集者・杉村三郎はアシスタントの身上調査のため、私立探偵のもとを訪れる。そこで出会ったのは、連続無差別毒殺事件で祖父を亡くしたという女子高生だった。
幻冬社HPより


宮部みゆきさんは、東野圭吾さんと並んで図書館ですぐには借りられない作家さんです。
予約が少し出遅れると、半年待ちなんてざらなので、話題の時期を過ぎて読むことが多いし、あきらめてしまって、実はそんなに読んでない作家さんでもあります。

本作は実家帰省中に読んですぐに返却したので、手元にないまま覚え書きと感想を残しておきます。
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ま行その他 | Comments(0) | Trackback(1)
2008/08/13

「阪急電車」 有川浩

阪急電車阪急電車
(2008/01)
有川 浩

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★★★☆☆

阪急電車今津線。
8つの駅があり、片道15分ほどの路線なのだそうです。
その今津線を舞台に、電車に乗り合わせた人たちのそれぞれのドラマがリレー形式で描かれています。
乗ったことも見たこともない路線ですが、読んでいてどこか親しみの持てるローカル的な雰囲気が伝わってきました。

有川浩さんというと、ついつい図書館シリーズのような奇抜な設定や出来事を取り上げた話を想像してしまいますが、今作では電車のなかでひょっとしたらあり得るかもしれない日常が描かれています。
始まる恋、別れ、友情、いろんな思いを乗せて、電車は走ります。
一期一会の触れ合いもあれば、電車のなかでの出会いを通じてぐっと親しくなる人もいる。
まさに「袖振り合うも多生の縁」という言葉がぴったりな素敵なお話でした。
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有川浩 | Comments(6) | Trackback(0)
2008/08/10

「こうふく あかの」 西加奈子

こうふく あかのこうふく あかの
(2008/03/27)
西 加奈子

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★★★☆☆

周りから自分がどう見えるかを常に計算しながら、用意周到に順調な人生を送ってきたつもりの39歳、靖男。
その自称完璧主義の男の人生を大きく狂わす計算外の出来事、それば妻の妊娠だった。なぜなら、妻のお腹にいる子は、自分の子どもであるはずがないのだから。
冒頭からそんなおもしろい展開で、思わず話にのめり込んでいきました。

本来なら靖男のように、部下や同僚、妻を軽んじて管理下に置いていると思い込み、特に女性に対して露骨で端的な感情表現を持つ男は、鼻持ちならなくてカチンとくるところです。
でも、そこはさすが、西さんの軽妙でユーモラスな文章から、靖男の小細工めいた画策はどこか詰めが甘くて抜けているように感じられ、その徒労と滑稽さがおもしろいです。
新年会のシーンは目も当てられないほど。

おとなしく従順でつまらない女だと思っていた妻がいきいきとし始め、それに嫉妬を感じ、その嫉妬という感情を持つことに屈辱を感じる靖男。
一つの生命を前に、自尊心や体裁が崩され、それまでの生き方が大きく揺さぶられていく姿がなんとも印象的で心に迫ります。
何をも凌駕してしまう生命の持つ圧倒的な力強さには息を呑むばかり。
そこには厳かさや美しい感動ではなく、生々しい「生」を強く感じました。

靖男の話と並行して、近未来の2039年、アムンゼン・スコットという覆面プロレスラーの話が途中途中で折り挟まれます。
二つの関連のなさそうなストーリーが最後に交錯して、熱気と興奮ともに爽快感を感じました。

ケチャップ、赤いマント、赤い花道、生まれいづる道、たぎる血潮のような色が鮮明に浮かぶようでした。
西加奈子 | Comments(2) | Trackback(0)
2008/08/10

「お月さん」 桐江キミコ

お月さんお月さん
(2007/02/16)
桐江 キミコ

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★★★☆☆

「(前略)ミスター・ヒラは、これまで息をひそめて、MUSTとSHOULDの数珠つなぎの日々を、黙々と一日ずつこなしながら、堅実に人生を消耗してきた。味も素っ気もない平べったい毎日は、始まりと同じ終わりへと連なって消えていった。」
(「アメリカン・ダイナー」より抜粋)
デビュー作とのことですが、こんな美しい文がさらりと書かれているあたり、文章をとても書き慣れている印象を受けました。

周囲から疎んじられ、溶け込めず、社会とうまく折り合いをつけられない人たちが登場し、彼らとその周囲とが織り成す、12の短い物語です。
読後感は悪くないものが多いけれど、ちくりと刺さる痛み、ざらりと残る感触、ふわっとかすめるなつかしさ、そんなものがない交ぜになって、心がざわめきました。
この粟立つ思いはなんだろうと突き詰めて考えると、無意識に引いてしまう境界線の、どちら側に自分がいるのか、その立ち位置を意識していることに改めて気付かされる痛みが多くを占めています。
優越感や上から目線、もしくは劣等感や僻みを自分の心に抱えていることを、まざまざと思い知らされるのです。
このお話の中には、もう少し努力すればいいのにと思う人もいれば、出自や外見や所作という自分ではどうしようもないことによる周囲との隔たりで弾かれる人もいるから、身につまされます。

「お月さん」「金平糖のダンス」「キツネノカミソリ」「クリームソーダ」は何かの拍子にふっと思い出す記憶の断片。
何気なく通り過ぎてきたであろうその思い出を追体験して、後ろめたさと哀しみと愛おしさを感じます。
「薔薇の咲く家」「葬式まんじゅう」「寒天くらげ」は、生まれ育ちによる抗えない格差を意識してしまう話。
その環境の中で生きていくそれぞれの生き様に、心が揺さぶられます。
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か行その他 | Comments(0) | Trackback(0)
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