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2011/10/08

「女ともだち」 角田光代、栗田有起 他

女ともだち女ともだち
(2010/03/18)
角田 光代、栗田 有起 他

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★★★☆

人気女性作家による「派遣社員」作品集!
角田光代、井上荒野、唯野未歩子、栗田有起、川上弘美さんら人気作家5人が描く「女ともだち」。
主人公は誰もが「派遣」。仕事や恋をからめた「友だち模様」が、じんわりとくっきりと描かれた魅力たっぷりの小説集です。
小学館HPより



少し前まで、アンソロジーってまったく読まなかったんですが、最近食指が動くようになりました。
テーマが明確なのであまり裏切られないのと、テーマに対して作家さんがいろんなアプローチを仕掛けてくるのを比べ読みできて面白いです。
重厚さや濃密なものではなく、軽めの本が読みたいときに、借りるようにしています。
たいていはこの本のように、好きな著者の名前が並んでると手がのびるわけですが、それまで読んでいなかった作家さんの面白さを知るきっかけになったりもします。
今回の唯野未歩子さんもそうでした。

以下5作品。
「海まであとどのくらい?」 角田光代
「野江さんと蒟蒻」 井上荒野
「その角を左に曲がって」 栗田有起
「握られたくて」 唯野未歩子
「エイコちゃんのしっぽ」 川上弘美


私も派遣社員だった時期があるので、彼女たちの行動に、自分と重なる部分もあって親近感をいだく話が多かったです。
正社員との関係、待遇、派遣同士の連帯感、職場での立ち位置など、リアリティがありました。

「野江さんと蒟蒻」は、女ともだちって言えるのかな。
野江さんの真意がよく分からなかったし、分かったら分かったで、怖くもある。
でも、唖然としてしまうインパクトがありました。

角田さんと川上さんは、それぞれらしさが出ていて、安心して読んでいられる。
でも今回好きだったのは、栗田さんの「その角を左に曲がって」と、唯野さんの「握られたくて」。

「その角を左に曲がって」の、いつも左側ばかりに怪我をするひとみさん。
話の展開に心がざわついたけれど、彼女はたくましいなと思った。
そういう仕事内容も働くフロアも年齢も違う女性とだって、友情は成立するんだと、読み終えて元気をもらった。

「握られたくて」は、冒頭ではピンとこなかったけど、夜釣りの話のあたりからすごくユーモアがきいてるなと俄然面白くなりました。

旦那に至っては、青っぽい迷彩柄のTシャツのうえに、ところどころメッシュ状になった、やばいベストをはおっていた。


目に浮かんで、思わず噴き出しました。
こぶちゃんの話だけで終わるかと思ったら、きっちりと女ともだちの話でした。
うまい!


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2011/08/20

「チーズと塩と豆と」 井上荒野、江國香織 他

チーズと塩と豆とチーズと塩と豆と
(2010/10/05)
井上 荒野、江國 香織 他

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★★★☆

四人の直木賞作家の書き下ろしアンソロジー。 井上荒野=ピエモンテ州(イタリア)、江國香織=アレンテージョ地方(ポルトガル)、角田光代=バスク地方(スペイン)、森絵都=ブルターニュ地方(フランス)を舞台に描く「食と愛」の物語。
ホーム社HPより



後で知りましたが、昨年秋に、NHK・BSハイビジョン紀行番組「プレミアム8」にて、4人の作家がそれぞれヨーロッパのスローフードやソウルフードを求めて旅をする番組が放送されたそうです。
訪れた土地を舞台に各々が書いた小説が、ドラマ化されて番組に挿入されたとのこと。
その4つの物語を収録したのが今作。
番組が見たかったなぁとも思いますが、小説単体でどれもおもしろく読めました。

4編収録。
「神さまの庭」 角田光代
「理由」 井上荒野
「ブレノワール」 森絵都
「アレンテージョ」 江國香織

井上さんの著作は最近初めて読みましたが、他の3方は好きでよく読む作家さん。
それぞれに個性が出ていて、話運びと文章の巧さはどの方もさすがです。

特によかったのが、角田さんの「神さまの庭」と森さんの「ブレノワール」。
この2作は、「愛と食」というテーマが、家族を軸に分かりやすく心に響いたというのもあるけれど。

古くからの因習が残り、閉鎖的な雰囲気を持ったヨーロッパの片田舎。
その閉塞感に息が詰まりそうになり、外の世界に自由を求める若者。
でも時が経ったとき、故郷の、家族の、ゆるぎない安心感を愛しく切なく思う気持ち。
とりわけ、慣れ親しんできた食べ物は、たくさんの思い出を呼び覚ます。
共感するとともに、郷里を離れて暮らす私自身も、故郷を懐かしむ気持ちに駆られたのでした。

また、食事をする意味のもついろいろな側面を、考えさせられるお話でもありました。

僕は思うのだけれど、おなじものをたべるというのは意味のあることだ。どんなに身体を重ねても別の人格であることは変えられない二人の人間が、日々、それでもおなじものを身体に収めるということは。
「アレンテージョ」江國香織 より


ほんのいっとき食事を提供して、何が解決するわけではないなんて、机上の空論以外の何ものでもないことを、わたしはそのとき頭ではなく体で知った。解決を待つあいだに、不正を暴くあいだに、平和を訴えているあいだに、正義をふりかざしているあいだに、空腹で人は死ぬのだ。一年後、五年後、すべての未来は、今日という日を乗り越えなければ永遠にやってこないのだ。憂うなら、未来でなく今日、今なのだ。
「神さまの庭」角田光代 より



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