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2013/05/02

「人質の朗読会」 小川洋子

人質の朗読会人質の朗読会
(2011/02)
小川 洋子

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★★★☆

遠く隔絶された場所から、彼らの声は届いた。紙をめくる音、咳払い、慎み深い拍手で朗読会が始まる。祈りにも似たその行為に耳を澄ませるのは人質たちと見張り役の犯人、そして…しみじみと深く胸を打つ、小川洋子ならではの小説世界。
「BOOK」データベースより


読み終えてからひと月過ぎていたので、覚え書きのみ。

今まで読んできた小川洋子さんの作品は、固有名詞が少ないからかどこの国のどんな時代が舞台なのかがあいまいなお話が多かったのですが、この作品ははっきりと輪郭を持っていました。

一つ一つの物語は人質となった人達が書いた形なので、年齢や性別、文章の得手不得手など、書き手によって文章の雰囲気が変わります。
それでも小川さんらしい作風と、許容できる文章のラインを絶妙に保ちつつ、とても静かに語られていきました。
結末を既に知っているからこその、不思議な余韻の残る物語でした。
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小川洋子 | Comments(0) | Trackback(0)
2013/02/05

「ことり」 小川洋子

ことりことり
(2012/11/07)
小川 洋子

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★★★☆

世の片隅で小鳥のさえずりにじっと耳を澄ます兄弟の一生。図書館司書との淡い恋、鈴虫を小箱に入れて歩く老人、文鳥の耳飾りの少女との出会い…やさしく切ない、著者の会心作。
「BOOK」データベースより



小川洋子 | Comments(0) | Trackback(0)
2012/10/20

「最果てアーケード」 小川洋子

最果てアーケード最果てアーケード
(2012/06/20)
小川 洋子

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★★★☆

ここは、世界でいちばん小さなアーケード―。愛するものを失った人々が、想い出を買いにくる。小川洋子が贈る、切なくも美しい記憶のかけらの物語。
「BOOK」データベースより

小川洋子 | Comments(0) | Trackback(0)
2012/07/25

「猫を抱いて象と泳ぐ」 小川洋子

猫を抱いて象と泳ぐ猫を抱いて象と泳ぐ
(2009/01/09)
小川 洋子

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★★★☆

伝説のチェスプレーヤー、リトル・アリョーヒンの密やかな奇跡。触れ合うことも、語り合うことさえできないのに…大切な人にそっと囁きかけたくなる物語です。
「BOOK」データベースより


チェスにすべてをささげた男の、静かな物語でした。
ルールさえ全く知らないので、ぴんとこない記述も多かったけれど、その優美で清廉な描写に惹きつけられました。

小川さんの作品の登場人物は、肉体的、精神的に独特の特徴を持った人物が多くて、この物語は特にそうだったような気がします。
誰より、主人公が特徴的です。
大きくなることを恐ろしいと感じてしまう強迫観念が痛々しく、そう思わざるを得ない理由も悲しかった。
けれど、控え目でおとなしい彼(が動かす人形)とチェスをした多くの対戦相手は、そのゲームを心に深く刻みこんでいました。
リトル・アリョーヒンは、チェスを通じて多くのものを残したんだと思います。

読み進めるうちに、物語のすべてを表していると分かるこのタイトルがまた素晴らしいです。
小川洋子 | Comments(0) | Trackback(0)
2010/11/18

「原稿零枚日記」 小川洋子

原稿零枚日記原稿零枚日記
(2010/08/05)
小川 洋子

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★★★☆

「あらすじ」の名人にして、自分の原稿は遅々としてすすまない作家の私。苔むす宿での奇妙な体験、盗作のニュースにこころ騒ぎ、子泣き相撲や小学校の運動会に出かけていって幼子たちの肢体に見入る…。とある女性作家の日記からこぼれ落ちる人間の営みの美しさと哀しさ。平凡な日常の記録だったはずなのに、途中から異世界の扉が開いて…。お待ちかね小川洋子ワールド。
「BOOK」データベースより




小川さんの本は、最近読んだばかりな気がしますが、予約が回ってきました。

女流作家が書いた日記という形式でつむがれる、不思議な物語。
その作家とは小川さんご本人の投影なのかなと読み進めましたが、ご本人のことをよく知らないので、分かりませんでした。
夢か現か、そんな世界を行ったり来たりしながら、日記は進んでいきます。

たとえ行き当たりばったりに書かれた小説であっても、そこには必ず作者の無意識の計画が張り巡らされており、またTで起こった出来事はほとんどすべてが偶然でありながら、同時に、何ものかの確かな意図によって導かれた結果であった。



私はよく読み取れなかったけれど、この日記物語自体がそうなのでしょう。
着地点の見えなさ、捉えどころのなさに翻弄されながらも、日記を俯瞰してみたとき、作家が抱えている現実と、日記に書かれた文の、二重構造があるような気がしました。

どうやら独り身らしい作家には、とりわけ幼子への執着があるように感じました。
ニュースの最後に赤ん坊を紹介するコーナーを泣きながら見たり、こっそりと運動会や子泣き相撲を見に行ったり、新生児室に立ち寄ったり。
きっと現実には「何か」があったに違いないと思うのだけど、そこは明かされません。

そしてこの物語の中には、「人を失う」場面が多く登場します。

落ち着いて振り返ってみれば、私の人生はすぐそばにいる人を失うことの連続ではなかったか。わこさんとネネさんもZ先生も譜めくりのJ子さんもパーティー荒らしも子泣き相撲の赤ん坊も暗唱クラブの先生もRさんもWさんも肥満児大学生も猫っ毛サラリーマンも皆、私を置き去りにしてどこかに姿を消してしまった。どんなに瞬きをしても、私の網膜にはもはや彼らの姿は映らない。
 ”何の役にも立たなかった”
 この一行を私は日記の中で何度繰り返しただろう。とても数え切れるものではない。



様々な喪失に遭遇するなかで、作家が一番恐れているのは、母を失うことではないか、と感じました。
この日記には、日記でありながら感情の独白や吐露といったものが少なく、ずいぶん抑制されて書かれているように思います。
淡々とした語りの中に、自分では何もできない虚しさや喪失感があふれているような気がしました。
小川洋子 | Comments(0) | Trackback(0)
2010/10/25

「夜明けの縁をさ迷う人々」 小川洋子

夜明けの縁をさ迷う人々夜明けの縁をさ迷う人々
(2007/09)
小川 洋子

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★★★☆

もしあなたが世界からこぼれ落ちても、私が両手をのばして、受け止めよう―『博士の愛した数式』『ミーナの行進』の小川洋子が世界の片隅に灯りをともす、珠玉のナイン・ストーリーズ。
「BOOK」データベースより



図書館に返却してしまったので、簡単に覚え書きを。

小川洋子さんの描く、現実と非現実の狭間を行き来するような不思議な物語、9編。
どれも短いお話ですが、それぞれにぎゅっと濃縮された濃い世界観が広がっていて、美しく豊かな表現力から想像をかき立てられます。
妖しく、なまめかしい話もあれば、背筋がすっと寒くなるような話、せつなくなる話など様々です。
人間が何か、あるいは誰かに執着する心が生み出すものを描いたお話が多いように感じました。
密やかでひんやりとした、静かな短編集です。

好きなのは、「イービーのかなわぬ望み」「パラソルチョコレート」「再試合」。
印象的だったのは、「教授宅の留守番」「涙売り」「ラ・ヴェール嬢」。

「涙売り」は、涙が楽器の音色を美しくするというのはもちろんのこと、涙の種類で価値がかわるという着眼点がとても面白いと思いました。
たしかに、たまねぎで出した涙は、価値が低そうな感じがする(笑)
自己犠牲で成り立つ商売の少女が、恋をして、究極の犠牲を払った結末。
痛々しく、せつなかった。

最終話の「再試合」。
時の流れの感覚を奪われるような、とても不可思議なお話でした。
終わらないでいつまでも続いてほしい、ずっと見ていたい、そんな感情を抱くことはよくあります。
私はスポーツにはあまりないのだけど、例えば、映画、ドラマ…そして本。
そういう人間心理を突き、しかもそれを最終話に持って来るところが、また上手いなぁと。
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小川洋子 | Comments(0) | Trackback(0)
2009/11/05

「ブラフマンの埋葬」 小川洋子

ブラフマンの埋葬 (講談社文庫)ブラフマンの埋葬 (講談社文庫)
(2007/04/13)
小川 洋子

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★★★☆

ある出版社の社長の遺言によって、あらゆる種類の創作活動に励む芸術家に仕事場を提供している“創作者の家”。その家の世話をする僕の元にブラフマンはやってきた―。サンスクリット語で「謎」を意味する名前を与えられた、愛すべき生き物と触れ合い、見守りつづけたひと夏の物語。第32回泉鏡花賞受賞作。
「BOOK」データベースより



小川洋子さんの描く、独特の空気感が好きです。

おそらくどこか外国の片田舎が舞台となり、その森の近くにある「創作者の家」を管理・世話している「僕」が語る物語。
その村は、しっとりと静かで、寂しく閉ざされ、孤独と死の臭いを感じるような気がします。
碑文彫刻、石棺、埋葬人、ラベンダーの箱、古代墓地。
そんな言葉が印象的な、ひんやりと湿った、静かな村。
創作者の家というのは、芸術家のために無償で提供している作業用ペンションのようなもの。
そこを訪れる芸術家たちは、滞在の長短、常連か一見か、1人であるいは誰かを連れて来るか等、様々。
ただ、碑文彫刻師1人をのぞいて、いずれは去っていく存在です。
「僕」は、彼ら芸術家と一定の距離を保ち、邪魔をしないことを心がけます。

芸術家たちの手が苦悩している間、僕はガスレンジを磨いている。車庫のペンキを塗り替えている。落ち葉を集めて燃やしている。僕の手は何も創り出さない。


管理人としてずっと居続ける「僕」が、どのような背景を持つ人物なのか、それまでの生い立ちも、本人の家族の話も、何も語られていないので分かりません。
縁もゆかりもない家族写真を骨董市で購入し、部屋に飾る「僕」。
そこに写っている家族の全員が、おそらく死んでいるだろう古い写真です。
直接書かれなくとも、彼が持つ深い孤独と寂しさを感じてしまいます。

ひっそりと続く静かな毎日に、闖入者が突如現れるところから、この物語は始まります。
傷ついているところを保護し、「ブラフマン」と名付けた小動物。
ブラフマンが何の動物かの記載は一切ありません。
私のイメージではアライグマ(ラスカル的な 笑)なのですが、イタチやカワウソの類なのか、そもそも実在する動物なのかも不明。
あれこれ想像するのも楽しいけれど、謎を意味する「ブラフマン」と名付けられたその生き物の正体は、大きな問題ではないのかもしれません。

愛らしく自由奔放に振る舞うこの動物の世話を続けるうち、ブラフマンが「僕」にとってかけがえのない存在になっていきます。
「僕」の生活に色と温度をもたらし、癒し、心にも温もりを与えたのです。
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小川洋子 | Comments(2) | Trackback(0)
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