「さよなら、そしてこんにちは」 荻原浩
![]() | さよなら、そしてこんにちは (2007/10/20) 荻原 浩 商品詳細を見る |
★★★☆☆
最近なかなか読書が進まなかったのですが、この短編集はとても読みやすかったです。
荻原さんの著作で前回読んだ「千年樹」とは打って変わり、コミカルで面白く、さらっと読めるのだけど何かが心に残る、そんな7つの短編で成ります。
表題作、「美獣戦隊ナイトレンジャー」、「長福寺のメリークリスマス」が特に好きでした。
- [2008/03/18 09:55]
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「千年樹」 荻原浩
![]() | 千年樹 (2007/03) 荻原 浩 商品詳細を見る |
★★★★☆
樹齢千年にもなろうかという、くすの木。
それほどの巨木には、何かが宿っているかのような荘厳さがあり、知らずと畏敬の念を抱きます。
そんな一本の大樹のもとで繰り広げられた、人間たちの生き様を綴った壮大な物語です。
くすの木の萌芽から最期までに渡る8編の連作短編で成り、それぞれの編の中でも、時間を飛び越えた異なる時代の物語が交互に綴られます。
その二つの時代が因縁のように交錯し、繰り返される人間の営みの連鎖に畏れを感じました。
また編どうしでも、現代にそこに住む登場人物のつながりがあって、人との関わりの横糸と、時代を通しての縦糸とが絡み合う、重厚感のある物語でした。
人の思いや願いは、時代を経てなお共通しているんだなと今さらのように思い知ります。
古い時代の話の多くは死に直面しているため凄惨で重く、現代の話の抱える痛みには心をえぐられ、あらがうことのできない奔流に飲み込まれるような戦慄を覚えます。
また、圧倒的な存在感を持つ巨木を前に、人の存在の小ささを知り、打ちのめされました。
樹木には、自らの遺伝子を存続するために木の実の量をコントロールする力があるという話も驚きでした。
新たな芽を咲かせるために小動物に木の実を食べさせるのですが、小動物が少ないと木の実を増やし、種まで食べつくされるほど増えると木の実を減らすというのです。
「人間は植物が好きだというが、たぶん植物は人間を嫌いだろう。きっと、いつかは人間の数もコントロールしようとたくらんでいるんだ。」
このさらりと書かれた言葉に、樹木の底知れない意思を想像して、圧倒され、よりどころのない不安を一層あおられました。
- [2007/11/29 08:34]
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