「ホテルジューシー」 坂木司
![]() | ホテルジューシー (2007/09) 坂木 司 商品詳細を見る |
★★★☆☆
以前読んだ「シンデレラ・ティース」の姉妹編にあたるお話です。
サキの友人、柿生浩美ことヒロちゃんが主人公。
大家族の長女として小さいころから弟や妹の面倒を見、家の手伝いをするのが習慣になっているヒロは、自分のことは後回しにしてでも人に世話を焼き、空き時間も有効に使いこなしててきぱき動く女子大生。
そんな彼女が、ぽっかりと空いてしまう夏休みに選んだバイトは、東京から遠く離れた沖縄の宿での住み込みの仕事でした。
当初は、石垣島のホテルで同世代の仲間と忙しく働くバイトに充実感を感じていたものの、急遽人手の足りなくなった別のホテルに応援にいくことになってしまいます。
那覇市内にある、そのホテルの名は「ホテルジューシー」。
わかりづらい場所にあり、雑居ビルのような外観で、ホテルの客室とマンションの部屋が階を隔てて混在する建物のそこは、長逗留する常連客や口コミでやってきた客がほとんど。
石垣島の宿とは趣のまったくちがうホテルで、ヒロはフロント業務や雑務全般を一人でこなすことになってしまいます。
他の従業員は、朝食料理担当の比嘉さん、掃除係のクメばあとセンばあ、そして昼行灯で頼りにならないけど夜は冴えるオーナー代理。
沖縄らしい、おおらかでのんびりとした従業員たちのいい加減な面に、苛立ったり脱力したりのヒロ。
さらに、宿泊客のなかにもヒロが放っておけない人たちが次々とあらわれて・・・。
- [2008/01/07 16:16]
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「一瞬の風になれ 第一部 ―イチニツイテ―」 佐藤多佳子
![]() | 一瞬の風になれ 第一部 --イチニツイテ-- (2006/08/26) 佐藤 多佳子 商品詳細を見る |
★★★☆☆
図書館の予約がやっと回ってきて、第一部を読むことができました!
運動嫌いの私ですが、スポーツをテーマにした青春小説にはまることは多いような気がします。
スポーツの才能にあふれた人にあこがれがあるのと、自分自身では味わえない高揚を感じられるからでしょうか。
ただ、その世界には疎いので、専門的なことが羅列されると、想像が及ばなくなって読むのがしんどくなってしまいます。
今作は、陸上競技の短距離を走る部員たちのお話なのですが、主人公の新二が陸上初心者のため、一緒にその世界を知ることができ、わりと分かりやすかったです。
軽いタッチで、話し言葉の多い文章なので、そのノリになじむまで読みづらかったのですが、試合の記述のあたりから慣れてきて、どんどん面白くなってきました。
- [2007/12/11 09:25]
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「読み違え源氏物語」 清水義範
![]() | 読み違え源氏物語 (2007/02) 清水 義範 商品詳細を見る |
★★★☆☆
中高生のときに漫画「あさきゆめみし」を読んで以来、現代語訳版をざっと読み、解釈の講義を受けたり研究授業に参加したりと、学生時代にはそれなりに興味を持っていた「源氏物語」。(でも、古文はあまり得意科目ではありませんでしたが 笑)
今となっては子細を忘れてしまうほど遠い存在になっていますが、「読み違え源氏物語」というタイトルに惹かれて、この本を読んでみました。
とても面白い趣向で、かなり斬新なものもありました。
ちなみに清水義範さんの本は初読みです。
学校で習うので問題ないかもしれませんが、私のように細部があやふや、または全く知らないという場合は、原典の主要人物がどういう人となりなのかを確認し、簡単にあらすじだけでも追っておいたほうが、楽しめると思います。
それを踏まえて読めば、源氏物語や古典が得意でない人も、このエピソードや人物が出てくる巻だけは読んでみようかな、なんて気分になるかもしれませんね。
私自身、また原典を読みたくなりました(笑)
以下、8編収録です。
- [2007/11/17 17:58]
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「ししゃも」 仙川環
![]() | ししゃも (2007/07) 仙川 環 商品詳細を見る |
★★☆☆☆
一流商社をリストラされ北海道の故郷に帰ってきた川崎恭子。失意の彼女が目にしたのは、さびれた町の風景だった。若者は町を去り、シャッターを閉めた店ばかり。このままでは、町にも自分にも明るい未来はない。そんな恭子が地元の水産試験場で虹色に輝く不思議なししゃもと出会う。その味の素晴らしいこと。「虹色ししゃもで町おこしだ――!」恭子は売り込みに奮闘するが……。
祥伝社HPより
表紙の装丁のかわいさにほだされた感があります(笑)
最終章がなければ、★1つでした。
主人公恭子の無鉄砲な強引さと、私はみんなとはちがうという自負、町の人たちを下に見ているかのような傲慢さが鼻についてしょうがなかったです。
東京の一流商社で働いていたのだから、町の人と感覚が合わないのも当然なのに、かつての同級生に
「悪いけど、やっぱりこういうところにずっといると、世の中の動きがみえなくなってしまうのかしらね」
と平気で言ったり、心配する両親に
「黙って見ていてくれればいいのよ。この件について、できることなんか何もないでしょ?」
なんて言い放つのに、いちいち反感を覚えて、共感できませんでした。
悪戦苦闘しながらも、めげないバイタリティはすごいとは思いますけど。
こういうお話は、主人公を応援したい気持ちにならないと乗ってこないんです。(私の心が狭いのでしょうかね 笑)
町の人たちも、生活がかかっているとはいえ利己的で、どこか人任せ。
こんな調子で「ししゃもで町おこし」はどうなっていくんだろう、というところでこの事業のキーマンが失踪してしまうあたりから、少しミステリー要素が入ってきます。
キーマンは何故、どこへ消えてしまったのか、この計画は成功するのか?
以下ネタバレです。
- [2007/10/25 23:18]
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「シンデレラ・ティース」 坂木司
![]() | シンデレラ・ティース 坂木 司 (2006/09/21) 光文社 この商品の詳細を見る |
★★★★☆
このお話、やさしい空気に包まれています。
ひょんなことから大学の夏休みに、叔父の勤める歯科でアルバイトをすることになってしまった咲子。
実は小さいころ、恐い思いをしたトラウマから、歯医者が大の苦手なのです。
クリニックのスタッフや、患者さんとのやり取りを通じて、少しずつ変わっていく咲子のひと夏を、温かく軽やかに描いています。
咲子の仕事は受付。
院長から、治療に役立てるために患者さんの食べ物の嗜好などの生活習慣を聞きだして「第二のカルテ」を作るように言われます。
患者さんの抱える歯にまつわる問題や心の悩みを、クリニックの面々と解決していくのですが、少し謎解き風になっていておもしろいです。
そこに人付き合いの下手な歯科技工士、四谷のことが少しずつ気になり始めた咲子の心の動きが絡みながら進行していく、連作短編集となっています。
クリニックのスタッフが個性的で魅力があり、とても温かく居心地のいい空間です。
みんな仕事に対して真摯で、プロ意識が高く、患者さんへの配慮が行き届いているんです。
クリニックも、パウダールームがあったり、荷物を受付で預かったり、患者をお客様と呼んだりと、まるでスポーツクラブやエステのよう。
ああ、こんな歯医者なら行ってみたい(笑)
四谷以外のスタッフの出番がもっとほしいと思ったのは、それだけ魅力的なキャラクターがそろっているからですね。
成瀬先生のナンパの注意点三カ条には思わず笑ってしまいました。
実は坂木さんのお話を読むのは2作目なのですが、最初に読んだのがどうも自分にあわなくて、それ以来苦手意識がありました。
先日、図書館で何気なく手に取ったこの本。
あ、坂木さんか〜と思いつつ書き出しだけ見てみようと思ったら、なんか読みやすそう!
とりあえず借りてみることにしたんですが、正解でした。
おだやかで優しい気持ちになれる本でした。
他の作品も読んでみたくなりました!
- [2007/10/07 13:15]
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