「白い月黄色い月」 石井睦美 

白い月黄色い月白い月黄色い月
(2006/01)
石井 睦美

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★★☆☆☆

石井さんは児童文学を多く書かれている方のようで、この作品も難しい言葉は使われていません。
でも、初読ではどこか難解な印象を持ちました。

「ぼく」は記憶をなくして、その島で暮らしている。
名前も年齢も、どうしてここにいるのかということも分からない。
その島は1の島から4の島までの4つの小島でできているが、3の島には行ってはいけない。
4の島にはその島でたったひとつのホテルがあって、「ぼく」はそこに住んでいる。
ホテルには、カエル的人間(顔と手足がカエル)のオーナー、人格を持った書物のビブリオがいて、「ぼく」と一緒に食事をしたり、話し相手になってくれたりする。

パラレルワールドを描いたかのような、不思議な世界です。
こんな不思議なお話を読むとき、私はあまり深く考えず感覚で読むことが多いです。
一つ一つに、何それ?どうして?と疑問を持てば次に進まないから(笑)
それはそれとして受け入れて、雰囲気を楽しむようにしています。

美しく、やさしい世界での穏やかな生活。
けれど、記憶の糸が時折しっぽをたらし、それをつかみ損ねてもやもやする。
「ぼく」は何も変わらないその世界で、同じことを繰り返す生活に、少しずつ焦りと苛立ちを感じるようになります。

「ぼく」は誰なのか、この島はいったい何なのか、とたくさんの疑問が膨れ上がってきて、雰囲気を楽しむよりも謎解きが主体になってくるのです。
とくに「黒い服のひと」が現れてからは、話の展開が大きく動きます。

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「雲を斬る」 池永陽 

雲を斬る雲を斬る
(2006/04/04)
池永 陽

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「雲を斬る」 池永陽
★★★☆☆

池永陽さんの本は初めて読みます。
五月のこの清々しい時期に読めたことが、なんとも嬉しいお話でした。

主人公は江戸の貧乏長屋に住まう浪人、由比三四郎。
寺子屋で子供たちに読み書きと読本を教えながらも、その生活は苦しく、副業として、多少腕に覚えのある剣で道場破りをし、なんとか生計をたてています。
越前丸岡生まれの三四郎が江戸で暮らす目的は、父親を殺した仇・滝沢伝十郎を探し出し、敵討ちをすることにあります。
たった一人の人間を探し出すのは途方もないことで、故郷を離れ、滝沢を探しながら四年間うろつきまわり、滝沢の生国・江戸に入ったのが三年前。
すでに七年の月日が流れていました。

三四郎は、貧乏浪人に身をやつしながらも、心根はすさむことなく、武士としての矜持を持ち続けている。
そして、人に対してはとにかく優しく、情に厚い。苦しんでいる人たちを放っておけない。ときにはそれが甘さという弱点にもなる。
三四郎の生真面目で不器用な生き方は、ときに厄介事を背負うけれど、周囲の人からは頼られ、好かれるのです。

ある日、寺子屋の教え子の姉・おさとが、恋人の博打の借財を肩代わりして女郎に売られることになります。
それを知った三四郎が、道場破りによって得た金を渡すことで売られるのを食い止めたが、女衒に恨まれ、彼の首には五十両もの賞金がかけられることに。
敵討ちを本懐とする三四郎が、自ら賞金首になる、という皮肉な事態におちいるのです。

三四郎は、次々とあらわれる刺客たちとの勝負をどう切り抜けるのか。
そして、敵討ちを果たし、故郷に帰参することは叶うのか。
命を懸けた立ち合いのなか、三四郎の秘剣が冴え渡ります。

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「木洩れ日に泳ぐ魚」 恩田陸 

木洩れ日に泳ぐ魚木洩れ日に泳ぐ魚
(2007/07)
恩田 陸

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★★★☆☆
※2月に読了

「Rのつく月には気をつけよう」 石持浅海 

Rのつく月には気をつけよう Rのつく月には気をつけよう
石持 浅海 (2007/09)
祥伝社

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★★★☆☆

石持さんの本は初めて読みました。

大学時代からの飲み仲間である、夏美、長江、熊井の男女三人は、しょっちゅう飲み会を開催し、いつも三人だと芸がないので、誰かが一人ゲストを連れてくるのが習わしとなっている。
おいしいお酒と肴、それにゲストとの会話を交えて、楽しい時間を過ごそうというのです。
ゲストの話は、時に甘かったり、時にほろ苦かったりするスパイス、といったところでしょうか。

毎回、何気なく発せられたゲストの言葉に、頭脳明晰の長江が反応し、いつの間にか日常ミステリーの様相を帯びてきます。
ああでもないこうでもないと、夏美や熊井が推論や意見を出し合うなか、最後は長江が謎解きをして解決するという一連のパターンの連作短編集となっています。

つまり、謎解きはすべて、飲み会の席での四人の会話の中で完結するんです。
長江は『悪魔的な頭脳を持っ』ていて、一を聞いて十を知る、を地でいく人というのでしょうか。
私のような凡人には計り知れない推理を展開してくれるので、それって深読みや憶測じゃないのか、飛躍しすぎてないかと、狐につままれたような腑に落ちない面もありました。

でも、それを差し引いても、お酒や食べ物はとてもおいしそうだし、夏美と熊井のやりとりは笑えるところもあって面白かったです。
書き出しが一話ごとのラストにうまくつながっているし、まとまりもあってよかったです。

以下、微妙にネタバレあります。

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「頭のうちどころが悪かった熊の話」 安東みきえ 

頭のうちどころが悪かった熊の話 頭のうちどころが悪かった熊の話
安東 みきえ (2007/04/02)
理論社

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★★★★★

再読。やっぱり何度読んでもいいな〜と思いました!
この本、図書館では児童書の棚に置いてあったんですが、大人が読んでおもしろいと思える話なんじゃないかなと思います。
(きっと子供も。)
そして下和田サチヨさんの挿絵がすごくピッタリきます。

もし人生の意味に悩んだらとりあえず食べてみてください。7つの動物ショートストーリー。「小さな童話大賞」(毎日新聞社主催)受賞作『いただきます』収録。

「頭のうちどころが悪かった熊の話」
「いただきます」
「ヘビの恩返し」
「ないものねだりのカラス」
「池の中の王様」
「りっぱな牡鹿」
「お客さまはお月さま」

の7つの短編から成ります。

今回読んだときは、「池の中の王様」と「りっぱな牡鹿」が特に心に響きました。
前回は「いただきます」が一番好きだったので、読むときによって感じる部分が違うのかもしれません。

読んでいると自然と肩の力が抜けて、出てくる動物たちに何かを気付かされる。
でも真面目な説法じゃなくて、くすっと笑ってしまったり、結末に思わずにやっとしてしまったり。
こんな寓話、大好きです。