「永遠に来ないバス」 小池昌代
永遠に来ないバス
永遠に来ないバス
★★★☆

本詩集には様々な“水”が登場する。それは、あるときには汚水であり、雨やシャワーの流水であり、私たちを満たし、その端から滑り落ちていこうとする水である。湯気のように現実の周囲を漂う、くらさや気怠さにもかかわらず、丸みのある、肌触りのよいことばたちは、常に明るい陽の方を向いている。何かを欠き、不安を抱えて生きる、私たちの傾斜の角度をあるがままに感知し、その微かな陥没までをも直観し、あざやかな、ことばへの転換を図る。鮮烈な第一詩集『水の町から歩き出して』、現代詩ラ・メール新人賞受賞の第二詩集『青果祭』から6年を経て、いまだみずみずしくも、安定した技法を定着させた詩人の、注目すべき新詩集。
「BOOK」データベースより


最近小説を読んで気になっていた、小池昌代さんの詩集を図書館で見つけました。
はしがきの「つり橋」を含めると25の詩が収録。
パッと読んだだけでは意味の分からないものもあったのだけれど、心に迫ったものだけを味わうことに。
(意味を読み解くことを放棄してます 笑)

時間、空間、瞬間、という「間」の感覚を鋭く切り取っているという印象を持ちました。
特に印象に残った詩は、「永遠に来ないバス」「空豆がのこる」「靴ずれをめぐって」「あいだ」「蜜柑のように」「手を洗うひと」。
動と静の両方の詩がありますが、私はどちらかといえば静のほうに惹かれたようです。

自分では意識しなかったのだけど、解説文を読んで、改めて“水”の出てくる詩が多いことに気付かされました。
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【2009/07/04 14:51】 | 詩歌 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
「こうふく みどりの」 西加奈子
こうふく みどりのこうふく みどりの
(2008/02/28)
西 加奈子

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★★★★

以前「こうふく あかの」を読んで以来、少し間が空いてしまいましたが、やっとこちらを読むことができました。
途中からは一気読み、号泣でした。
母と娘、という関係を考えさせられたり、女の生き方を考えさせられたり、身近な面で自分自身に近いテーマだったからなのかも。

物語は、辰巳緑という14歳の少女の目線で描かれ、辰巳家の面々と、緑の学校生活が中心となっています。
関西弁で飾らない緑の語りは現実味を感じるし、緑の目に入る文字が太字となってそのまま書かれているのが、唐突だったり、逆にピッタリと合って話に活かされていたりして、おもしろかったです。

緑のおばあちゃん、未婚の母であるお母さん、従姉妹で出戻りの藍ちゃん、藍ちゃんの娘の桃ちゃん、猫のカミさん、ホトケさん、犬のポックリさん。
女性(とメス)だけしかいない、という複雑な家庭環境だけれど、辰巳家にはゆったりとした空気が流れ、とても居心地がよく、話を聞いてもらいたくて、お客さんが引きも切らずやってきます。
そんななか、近所に越してきた転校生、コジマケンの存在が気になり始め…物語は動き始めます。

以下ネタバレがあります。
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【2009/07/02 16:29】 | 西加奈子 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
「タタド」 小池昌代
タタドタタド
(2007/07)
小池 昌代

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★★★★

20年連れ添った夫婦とそれぞれの友人。50代の男女4人が海辺のセカンドハウスに集まってくる。海藻を拾ったり、夏みかんを齧ったり、あどけないような時間のなか、倦怠と淡い官能が交差して、やがて「決壊」の朝がやってくる―。川端賞受賞作「タタド」、海辺で夫を待つ女と、風、砂、水、光による侵食を描く「波を待って」、同級生夫婦の家での奇妙な住みこみの仕事を描く「45文字」。全3篇収録の傑作短篇集。川端康成文学賞受賞。
「BOOK」データベースより



小池昌代さん、2冊目。
何やら不穏な空気をはらんで進んでいく3つの話。
小池さんの書く文章はやはり美しく、魅力的です。
生を強烈に生々しく感じさせる一方で、その刹那に死のにおいが漂ってくるかのよう。
物事は、ちょっとしたきっかけでがらりと一変する。
その抗えない流れに、いつの間にか巻き込まれている(もしくは巻き込んでいる)のが恐ろしい。

小池さんの作品、まだまだ読み足りません。
物語に、というよりも言葉と文章に中毒性があるのかも。
そう、物語の私の好みは、心温かくなるような、胸熱くなるような、そんな話なので、本来ならそこまで興味が続かないはず。
それでも、ぞくっとする一文に心をわしづかみにされ、もっと読んでみたくなるのです。

以下3編収録
「タタド」
「波を待って」
「45文字」

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【2009/06/19 17:32】 | か行その他 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
「陰日向に咲く」 劇団ひとり
陰日向に咲く陰日向に咲く
(2006/01)
劇団ひとり

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★★★☆

引越しの時期と重なって、図書館の予約本が回ってきたため、バタバタで読み終えて一ヶ月以上経ってしまいました。
なので、簡単な感想と覚え書きのみ。

ごめんなさい、正直言ってあまり期待過剰にならないように気をつけながら読みました。
が、予想以上に面白かったです!
非常に読みやすい短編で、登場人物が端役でリンクしているので、連作短編集になるのでしょうか。
でもそのリンクのバランスも、ほどよい感じ。
(リンクすることに気合入れてます!と感じる連作に、ときどき興ざめしてしまうので。)
一人称の登場人物の書き分けの違いがはっきり分かって、著者の引き出しの多さに驚きました。
それぞれの話の結末も、きちんとオチがついていてよかったです。
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【2009/05/19 20:35】 | か行その他 | トラックバック(0) | コメント(4) | page top↑
「倒立する塔の殺人」 皆川博子
倒立する塔の殺人 (ミステリーYA!)倒立する塔の殺人 (ミステリーYA!)
(2007/11)
皆川 博子

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★★☆☆

戦時中のミッションスクール。図書館の本の中にまぎれて、ひっそり置かれた美しいノート。蔓薔薇模様の囲みの中には、タイトルだけが記されている。『倒立する塔の殺人』。少女たちの間では、小説の回し書きが流行していた。ノートに出会った者は続きを書き継ぐ。手から手へと、物語はめぐり、想いもめぐる。やがてひとりの少女の不思議な死をきっかけに、物語は驚くべき結末を迎える…。物語が物語を生み、秘められた思惑が絡み合う。万華鏡のように美しい幻想的な物語。
「BOOK」データベースより



あちこちで評価の高いこのお話ですが、私は読んだ時期が悪くて読書に集中できなかったため、ややのめり込めなかった印象です。
地の物語と、登場人物がノートに回し書きした手記と物語とが織り交ぜられながら話が進んでいきますが、その凝った面白い構成は、頭を整理して読まないとちょっと混乱して、若干読みにくさを感じてしまったことがひとつ。
戦中戦後の時代背景にあまり馴染みがなく、話題に上がる小説や絵画等に疎くて、追体験し難かったことがひとつ。
ということで、つまりは読み手の私の側に問題がありました(笑)

最後に謎が解かれ、そのからくりが見えたときにほぅとため息が。
再読すれば、また違った印象で面白く読めるだろうなと思います。

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【2009/04/14 22:56】 | ま行その他 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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