★★★☆
小川洋子さんの描く、独特の空気感が好きです。 おそらくどこか外国の片田舎が舞台となり、その森の近くにある「創作者の家」を管理・世話している「僕」が語る物語。 その村は、しっとりと静かで、寂しく閉ざされ、孤独と死の臭いを感じるような気がします。 碑文彫刻、石棺、埋葬人、ラベンダーの箱、古代墓地。 そんな言葉が印象的な、ひんやりと湿った、静かな村。 創作者の家というのは、芸術家のために無償で提供している作業用ペンションのようなもの。 そこを訪れる芸術家たちは、滞在の長短、常連か一見か、1人であるいは誰かを連れて来るか等、様々。 ただ、碑文彫刻師1人をのぞいて、いずれは去っていく存在です。 「僕」は、彼ら芸術家と一定の距離を保ち、邪魔をしないことを心がけます。
管理人としてずっと居続ける「僕」が、どのような背景を持つ人物なのか、それまでの生い立ちも、本人の家族の話も、何も語られていないので分かりません。 縁もゆかりもない家族写真を骨董市で購入し、部屋に飾る「僕」。 そこに写っている家族の全員が、おそらく死んでいるだろう古い写真です。 直接書かれなくとも、彼が持つ深い孤独と寂しさを感じてしまいます。 ひっそりと続く静かな毎日に、闖入者が突如現れるところから、この物語は始まります。 傷ついているところを保護し、「ブラフマン」と名付けた小動物。 ブラフマンが何の動物かの記載は一切ありません。 私のイメージではアライグマ(ラスカル的な 笑)なのですが、イタチやカワウソの類なのか、そもそも実在する動物なのかも不明。 あれこれ想像するのも楽しいけれど、謎を意味する「ブラフマン」と名付けられたその生き物の正体は、大きな問題ではないのかもしれません。 愛らしく自由奔放に振る舞うこの動物の世話を続けるうち、ブラフマンが「僕」にとってかけがえのない存在になっていきます。 「僕」の生活に色と温度をもたらし、癒し、心にも温もりを与えたのです。 |
★★★☆
森絵都さんの本は久しぶりに読みます。 その辺に転がっているような日常を切り取ったものから、海外を舞台にしたものまで、様々なシチュエーションをリアリティ感じる鋭い視点で描いた短編集。 相変わらず簡潔な文章でとても読みやすく、短編ならではのうまい構成でさらりと楽しめました。 どれも女性の目線で書かれた話と思われ、私にはイメージを掴みやすかったです。 笑ったのが「パパイヤと五家宝」。 ありありと目に浮かびます、こういう光景。 私も月に2、3度はちょっと高級なスーパーに立ち寄る(本書ほど高級ではありませんが)ので、自分を見ているかのようでした。 なにせそのスーパーに行くと、他人の買い物カゴの中が気になるのです(笑) オチも明快で笑ってしまいました。 「夏の森」もよかったです。 自由ホンポウとカブトムシの接点には、なるほどそういうわけが…。 子供時分の捉え方と妻であり母である現在から見た捉え方が、思い出された過去と共に見事に対比されていて、うまいなぁとうなってしまいます。 最後の6行あたりがとても憎い。 「あの角を過ぎたところに」は、ちょっと話が出来すぎかなとも思ったけど、結びがそこに行き着くとは、という驚きがありました。 余韻をもたせる結末に、読後もしばし心がざわめいていました。 そして最終編の「彼らが失ったものと失わなかったもの」。 たった6ページのこの物語の後味がとてもよく、気持ちよく読み終えることができました。 |
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移動の道中で慌しく読んだ本。 読み方とタイミングが悪かったのか、好きな江國さんの本なのだけど、この世界観に浸りきることができませんでした。 残念。 あ、でも海辺での風呂敷とのシーンは妙に好きです。 それに、最後に女の子が、「過去の思い出」について語るシーンも。 (なんだかんだ言って、けっこう浸っていますね 笑) 大人のための童話、といった感じで書かれた、やわらかいです・ます調の文章は、読んでいて少し退屈だけど心地いい。 それに、はっとする素敵な言葉にもたくさん出会えました。 そのことだけを取っても、読んでよかったなと思います。 中でも心に響いたのは、お皿のこの言葉。
さらに文庫本を借りたおかげで、好きな歌人の東直子さんの解説を読むことができました。 この解説が本当に素晴らしくて、東さんのことをまた好きになってしまった。 東さんは冒頭でこう述べます。
然り。 そうですね、東さん。 そういうことを、この本はとりわけ感じることのできるお話だと私も思います。 |
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図書の返却期限が近づき、返してしまっため、簡単な覚え書きと感想のみ。 この間、畠中恵さんの本を読んだばかりで、それがいまいちだったものだから少し冷却期間を置きたかったのだけど、図書館の予約の順番というのは自分の意とは関係なく、おかまいなしに周ってくるものでして。 でもこちらはやはり好きなシリーズということもあって、面白かったです。 麻之助とお由有、お寿ずの関係は、今後円満にいくのか、続編が待ち遠しいです。 |
★★★☆
図書の返却期限が近づき、返してしまっため、簡単な覚え書きと感想のみ。 度肝を抜かれるような名前とデビュー作から、なんとなく近寄りがたかった山崎ナオコーラさん。 初めて読んでみました。 短編なのですが、話にところどころつながりがあり、面白い構成となっています。 いたって真面目に、ふざけたことを書いてます(笑) レビューなど見ていると、賛否両論のようなのですが、私は1話目の表題作「論理と感性は相反しない」から、好きだなぁと思いました。 さらりと読みやすいし、共感できる感覚がわりとあります。 (と同時に、訳の分からないものもあり 笑) 遊び心満載で、後半にいくにつれ、え?と思うところもありましたが、このはちゃめちゃ感は癖になりそう。 表題作の他、印象に残ったのは「恐怖の脅迫状」「まったく新しい傘」。 他の作品も読んでみようかな。 |





